金沢の観光・旅行/金沢の観光スポット

金沢の寺(3ページ目)

金沢にはお寺が沢山あります。特に寺院群と呼ばれる3箇所には多くのお寺が固まってあります。実は加賀藩の三代藩主前田利常の時代に整備されたのです。江戸時代から続いている歴史が今もなお金沢には色濃く息づいているのです。

執筆者:小林 万希子

室生犀星の寺 雨宝院(うほういん)

町の名前の由来にもなった「千日山undefined雨宝院」

町の名前の由来にもなった「千日山 雨宝院」

犀川大橋のたもとに、起源が700年代にさかのぼるお寺・雨宝院があります。白山を開山した泰澄大師が開いたとされる高野山真言宗のお寺です。

地元の人には金沢市出身で明治の文豪の一人・室生犀星(むろうさいせい)(1889-1962)が育ったお寺として知られています。犀星は「杏っ子」「愛の詩集」などさまざまな小説や詩などを書いており、芥川龍之介や中野重治などとも交流がありました。金沢では泉鏡花、徳田秋声と並んで「三文豪」と呼ばれ市民に親しまれおり、それぞれの記念館もあります。

犀星直筆の手紙や創刊した雑誌、愛用品などが展示されています

犀星直筆の手紙や創刊した雑誌、愛用品などが展示されています

犀星は養子として生後1週間ほどでこのお寺に来ました。20歳になるまでこの寺で過ごし、その後放浪して作家になります。

お寺の中には犀星が雨宝院に宛てた直筆の手紙、帽子や虫かごなどの愛用品、犀星の作品などが展示されていて、お寺の方に案内されるとエピソードなども聞けてより一層、犀星を身近に感じる事ができます。

 

中央にある石碑が「まよひ子石」

中央にある石碑が「まよひ子石」

また境内には「まよひ子石」とかかれた石碑が建っています。これは、子供が行方不明になった時に、張り紙などをして情報交換をするための石だとされています。犀川大橋のたもとで人の往来も多く、人探しにはもってこいの場所だったようです。

犀星もこの石を見ています。迷える子供の人生を自分の運命と重ね合わせていたかもしれません。

犀星は困っている人に手を差し伸べる事が出来る優しくて暖かな人だったといいます。その人柄が培われたのがまさにこの雨宝院で、なんとなく暖かい雰囲気があります。ここは「作家の生い立ち」という違った角度で金沢を知る事ができ、明治に生きていた人間の温度が感じられる場所です。

■ 千日山 雨宝院
住所:金沢市千日町1-3
TEL:076-241-5646
拝観料金:300円
拝観時間:9:00~17:00
休観日:10日(本尊祈願会)
アクセス:金沢駅からバスで約15分片町下車徒歩約5分


戦災にあっていない金沢。古くに建立されたお寺が多くあり、そこから金沢の歴史やカギとなる人物を知る事もできるのです。そして今もなお、人々の心のよりどころとして存在し、その歴史を重ねています。
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