陶芸家・五月女寛さんのうつわと暮らし(2ページ目)

大らかで独特な質感と色使い

五月女さんは普段会社員として働き、陶芸は帰宅後や休みの日に集中して制作しています。 最初は趣味のつもりだったものが、今では毎月鬼子母神で行われる手創り市に参加したり、 個展やグループ展に出品したり。うつわ屋さんにも作品を卸しています。 陶芸と出会う元々のきっかけは高校時代。学校の授業でやってみたらすっかりはまり、大学へ行くか、陶芸の道へ進むか悩んだこともあった とか。その後社会人になってからも陶芸教室に通い、自分なりにコツコツと腕を磨いてきました。 一昨年、記念のつもりで個展を開いたら、思いがけない反響があり、ますますやる気に拍車がかかってしまったそうです。 今はとにかく作ることが本当に楽しくて仕方なく、夢中になっているようでした。 １階と２階、家の大部分のスペースを思い切り使って、たくさんの作品が大らかに展示されていました。



オブジェから生活用品まで。伸び伸びと自由で気持ちよい作風。右上のテーブルは
古材と陶を組み合わせ、鉄の足を付けた、鍛鉄作家・成田理俊さんとのコラボ作品。

アイディアの素がぎっしり詰まったアトリエ

壁には色見本がいっぱい。水回りはこの家の土間で見つけた古いシンクを設置。
普段制作しているアトリエもちょこっと見せてもらいました。 四畳半くらいの狭いスペースに、道具や材料がぎっしり詰まっています。 陶芸自体を始めてからは長い年月が経っているものの、作品を発表し始めたのはつい最近のこと。 まだプロではないから、と今は様々な土を取り寄せて、実験のように出来上がりの変化を楽しんでいるそうです。 「インターネットやらあっちこっちから探して、ほんとにいろんな土で試しましたよ。 でもだんだんと、自分の好きな土が分かってきました。 例えば、積み木のようなオブジェ（下の写真）は赤土に化粧土を施しています。 一度色を付けたあと、わざと剥いで古びた感じを出しているんですが、 下から赤土がほのかに覗く様子が、なんともいい感じに仕上がるんです」。

五月女さんの作る作品は、どこか遠い海から流れてきたような、 ノスタルジックな情感があります。 ちょっとくすみがかった色使いも独特で、見ているとほっと穏やかな気持ちになれます。 五月女さん一家が醸し出す、自由で自然体な楽しさと安らげる雰囲気が、作品にも表れているようでした。



子どもも一緒に楽しめる、量り売りの積み木・・・ではなく積み陶。

特別展示、めーちゃん

大胆な色使いととぼけた表情に心奪われます。
さて、五月女家にはあと二人、小さな隠れた芸術家がいます。 それは二人の娘、11歳の空ちゃんと、7歳の心ちゃん。 彼女達の作り出す不思議な人形「めーちゃん」が、今回特別展示として並んでいました。 無数に並ぶ人形達はひとつとして同じものがなく、風変わりでひょうきんな、独特の表情をしています。 くるくると自由に毛糸を巻きつけて、目や口もラフな感じ。おとぼけ顔や呑気な表情の子もいれば、 いたずらっこだったり、イジワルそうな顔をしていたりする子も。でも、みんなどこか愛嬌があって憎めない、 人の心をぐっと捉えるほのぼの人形なのです。 見れば見るほど夢中になってしまい、訪れるお客さんはみんな、気がつくと手に手に人形を持っていました。 以前の展示では、フランス人が大量に買い込んで行ったとか。 斬新な色とフォルムは、もう立派なアートといっていいほどです。

展示中も二人の娘さんたちはお客さんにお茶を出したり、おしゃべりして遊んだり。 家族みんなが手作り大好きで、いつも一緒にわいわいと楽しんでいる様子。そこから醸し出される居心地のよい空気が家全体に漂っていました。 どのお客さんものんびりと長居し、心からこの空間を味わっているようでした。



五月女 寛　個展
会場：アトリエ空心
東京都豊島区雑司が谷2-17-6
※普段は住居のため、個展開催中のみの開放です。
会期：9月15日（土）～17日（月）、22日（土）～24日（月）
11:00～19：00

10月20日（土）21日（日）は「工房からの風」にも出展
会場：ニッケコルトンプラザ野外会場
千葉県市川市鬼高1-1-1
TEL　047-378-3551

アトリエ空心
http://kuushin.cocolog-nifty.com/






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