鳥マーク
国立のシンボルマーク、鳥の絵が点々と続く電柱に沿って歩きます。


東京・国立にはどうも不思議な魅力があるようです。 洗練された品のよさを感じつつも、どこかのんびりと大らかで、都会と田舎のいいところを併せ持った雰囲気。 以前取材した国立のお店「匙屋」さんからさらに歩き、線路を超えてもう少しテクテクと歩いた先に、 今年の春、「黄色い鳥器店」ができました。

緑に包まれた、温かい手作りの店

外観
お店の回りはグリーンカーテン。清々しくて気持ちいい。
「国立って、おじいちゃん、おばあちゃんが手をつないで歩いているような町なんです。そういう人たちに お店に来て欲しかった。」と語るのは、オーナーの一人である高橋千恵さん。 駅からはちょっと遠いけれど、近所には摘み放題のお花畑があったり、 おいしいソーセージを作る工場があったり、自家製の梅干を干している八百屋さんがあったり。 じんわりと人の気持ちが通っている、のどかで居心地の良い場所です。 たまたま見つけた物件だったそうですが、サンルームみたいなガラス張りの様子も気に入り、とにかく始めてみよう、と思い切ってこの場所に決めました。 内装は自分たちでほぼ手作り。壁にペンキを塗ったり、ホームセンターで買ってきた板でカウンターを作ったり。 お店の真ん中にあるテーブルは、なんと足が水道管でできています。 そして、お店の回りにはプランターや植木鉢を並べ、たくさんの植物を育て始めました。 「屋根をもっと緑で覆わせて、もさもさっと蔦を絡ませたいですね(笑)。 今はゴーヤを植えてますが、蔓バラとかもいいなぁ。あ、でも実のなるものはやっぱり楽しいですね」。


植物
ゴーヤがあったりトマトがあったり。小さな植物園みたいで楽しい。


人と人とのつながりが持てる場所

カウンター
手作りのカウンター。
お客さまが座って、気軽に談笑したり。
このお店は高橋さん、そしてもう一人のオーナーである小田島千晶さんの二人で運営されています。 二人とも、長年うつわを扱う会社で働き、たくさんの作品や作家たちと出会ってきました。 「最初はお店で販売の仕事をしていたのですが、そのうち商品の企画にも携わるようになり、 あちこちの窯元や作家さんの工房を訪ねました。 作り手の技術や個性を間近に見ることができ、多様な可能性が広がったのですが、 やはり企業で働いていると、お客さまとの距離には限界があります。 もっとお客さまと近い位置で関わり、ゆっくり話ができて、作り手の思いもきちんと伝えられる空間があったらと、もどかしい気持ちがありました」。


食器棚
おうちのような食器棚も、置いてあるのは
販売している作品たち。つい覗き込んでしまう。


昔ながらの町のせともの屋さんみたいな雰囲気にしたかったという二人。 お店には手作りのカウンターと椅子があり、お客さまはみんな、ここにちょこんと座って、まずは一休みしています。「うつわ屋さんにカウンターなんて変だよー、と 友達に言われたこともありました。後ろに食器棚もあるから、居酒屋と 間違えられちゃったりして(笑)。でも普通のお家の棚を覗くみたいに、面白がってくれたら嬉しいです。 駅からも離れているし、わざわざ来てくださったお客さまには、 気軽にゆっくり寛いでいって欲しい。 カウンターでお茶でも飲んで頂きながら、一緒にたわいないおしゃべりをするのが楽しいんです。 ここに自分の好きなうつわを並べて、あーだこーだと悩んでもらってもいいですし。 お客さまの器への要望なども伺っていきたいと思っています」。

この日もちょこちょことお客さまが訪れたのですが、 まるで小さなオアシスを見つけたかのように、みんなほっと晴れかやな笑顔です。 お店の回りに植えた植物達と一緒に、少しずつゆっくりと根を下ろし、 静かに町に溶け込んでいっているようでした。

次ページでは、扱っている作品などを紹介します