2/2 自由が丘のカフェ　イカニカ [雑貨] All About

本当にいいと思うものだけを揃えて

棚には雑貨や食材がいろいろ。

さて、店の一角には大きな棚があり、魅力的な雑貨がディスプレイされています。お塩や調味料、お菓子なども並びます。これらは主にかずみさんが選んだもの。どれも思い入れがあるそうで、ちょっと尋ねると熱心に説明してくれます。
「例えば、この煎酒（いりざけ）は、江戸時代から庶民がお醤油代わりに使っていたものなんです。日本酒に梅干や花カツオを煮詰めた、昔ながらの調味料なんですよ。うちでは何にでもかけて、美味しくいただいてます。ここに置いてあるものは、自分が自宅で普段使っているものや、信頼できるものづくり作家の友人、知人のもの、それから、物語があったり、背景のしっかりしているものなどです。とにかく、いいと思ってるとつい熱く語ってしまって（笑）。こんなにおしゃべりする店もきっとないですよね」。

店名である「イカニカ」は、古い時代の雅語で「如何にか＝いかがですか？」という意味。お店を始める前から自分たちの屋号として使っていた言葉です。たくさんではないけれど、本当におすすめできるものをさり気なく紹介したい、という想いは、カフェでも少しずつ実現しているようです。

左上：バッグ作家のタカハシナオさんの作品。ひょいっと斜め掛けできて便利。
右上：エアラインのデッドストック。花生けに合いそうな器も見つかります。
左下：かずみさんお気に入りの”まじめなお菓子”、ミレービスケット。
右下：手作りキャンドルやパンなども並びます。

さて、カフェの料理は主に康二さんの担当。元々、かずみさんが自宅でお花の教室をしていたため、家に人が集まることが多く、お茶やご飯をもてなすこともしょっちゅうだったとか。だから独学といえど腕前は本格的。無農薬など素材にもこだわり、野菜中心で体に優しい料理を心がけています。ご飯メニューは、前日からゆっくり時間をかけて煮込んだカレー、そして昆布とカツオでしっかりとダシを採った、季節の野菜のすり流し。すり流しには、横浜にある山角というパン屋さんのカンパーニュを、蒸籠で蒸して添えています。パンを蒸籠で？？とちょっとびっくりしますが、これがふかふかもちもちになって、なんとも新鮮な美味しさ！また、友人である料理家のスズキエミさんがアドバイザーとなって、新しいメニューのレシピや運営のオペレーションを助け、時には厨房を手伝ってくれることもあるそう。近々、新メニューとして「イカニカごはん」も登場予定。また、秋にはスズキさんの料理教室も始まるそうです。

上左：野菜たっぷりのカレー。ご飯は新潟の清水英雄さんが作った
コシヒカリに黒米をブレンド。ほんのりピンクのかわいい色合い。
下：使っている器は作家ものも多く、かずみさんのお気に入りばかり。

さらに、一杯のコーヒーにもこだわりのある康二さん。「店からも近いところに、以前から気になっていた焙煎工房があって、そこで毎日頼んでその日の分だけ焙煎してもらっています。コーヒーはなんといっても焙煎したてが美味しいですから」。ドリッパーからゆっくりとコーヒーの雫が落ちるしばしの間、部屋中にふわりといい香りが漂います。使いやすくてコーヒーにぴったりという、伊藤環さんの器でお出しします。

家に遊びに来た延長のような感じで、のんびり寛いで欲しい、という平井さん夫妻。二人とも、気さくに話しかけてくれるので、来たお客さんがみんな友達になってしまうような、不思議な心地良さ。秋からはジワジワと、ワークショップやイベントも計画中です。大らかで楽しくてゆる～い雰囲気のカフェです。