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御殿山、代官山から田園調布、成城学園へ 歴史が語る、お屋敷街の系譜

一言にお屋敷街といっても、その成り立ちはいくつかに分類されます。自然の地形から発生したもの、計画的に作られたもの……。どの街がどのように作られてきたのかを見てみましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

一言でお屋敷街といっても明治末にすでに貴族の邸宅地だった街もあれば、大正以降に計画的に開発された街もあります。その街の歴史と成り立ちから、街の雰囲気、住宅の特徴などを見ていきましょう。

歴史あるお屋敷街は山、台などの地名のつく高台に立地

目黒区青葉台のお屋敷
目黒区青葉台。渋谷から、池尻大橋から、代官山から、いずれの駅からも歩くと10分以上の場所も多い
歴史的に見ると、高台は低地よりも暮らしやすく、早くから開発されてきています。その結果、千代田区番町、同麹町などの一部の例外を除けば、高い場所のほうが価値が高いということになり、首都圏でも江戸時代、明治時代など、古くからのお屋敷街には山や台などという高台であることを示す地名の場所に多く見られます。こうした場所は、江戸時代の大名屋敷や明治時代の元勲などの屋敷があった場所でもあり、古くからの一等地であったことが分かります。

たとえば、山の手の台地、神田川や目黒川の小高い台地に広がるいくつかの山の付く地名。御殿山(品川区北品川4丁目、5丁目あたり)、島津山(品川区東五反田3丁目あたり)、池田山(品川区東五反田5丁目あたり)、代官山(渋谷区)、西郷山(目黒区青葉台1丁目、2丁目あたり)がその代表的な場所。都心以外でも杉並区久我山、同浜田山などいくつもありますね。

台という地名では目黒区青葉台や渋谷区南平台などがその例です。こうした地名のうち、土地の形状を現しているものは、日本全国に見られます。例えば、御殿山は武蔵野市の井の頭公園周辺も同じ地名があり、こちらも中央線沿線では著名なお屋敷街です。

環境は抜群、でも鉄道利用には多少不便も

こうした住宅街の多くは駅などの公共交通と結びついて発生したわけではないので、現在の利便性という観点からすると、必ずしも便利と言い難い場合もあります。駅からは多少歩くような場所もあります。

西郷山公園
旧山手通り沿いの西郷山公園に立つと、この周辺が高台であることがよく分かる。眺望はいいが、上り下りは大変
しかし、住環境としては大半が一種住専。住宅以外が建てられない、集合住宅でも3階までの低層住宅となることから、静かで落ち着いた生活が期待できます。もちろん、その知名度、効率優先で建築できないことから、価格はどうしても高くなります。元々の区画が大きいので、お屋敷が残っている場所では夜道がちょっと不安な場合があることも。近くにコンビニという生活も期待できません。

また、高台だけに行くにも帰るにも坂があります。時には非常に険しい坂があることもあり、通勤・通学や買い物はちょっと大変かもしれません。

それでは、次ページで大正、明治以降に作られたお屋敷街を見ていきましょう。
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