東京生まれ、東京育ちにだって、
東京コンプレックスはある
表参道の街並みのキレイさは東京の魅力のひとつ。 |
しかも、通勤は片道1時間半以上。とても通いきれず、一人暮らしを決意。借りたのは同じ南青山4丁目にある1DKアパートでした。
そこで暮らすこと、数年。住んでいて「ああ、そうか」と思ったことは高級住宅街、流行の発信地など言われているような場所でも、人間の暮らしはそれほど変わらないということ。青山の裏通りには、ごく普通の小さな一戸建てが並び、お母さんは子どもを乗せて自転車で買い物に出かけます。夕方にはカレーの匂いが漂い、赤ちゃんの泣き声や兄弟喧嘩の声も聞こえます。表通りのお屋敷の暮らしがあるのでしょうが、そんなのはごく一部。それにコンプレックスを抱くのはばかばかしい。
とはいえ、暮らしてみなければこうしたことは実感できません。毎日の生活の中で東京という街の、イメージと実体を見続けていけば、コンプレックスなど感じなくなるはず。では、どんな場所がおすすめか、いくつかの観点からご紹介しましょう。
誰もが知っている都心や人気の街
その選択基準は「歴史」
新しい街に新しく作られた住宅。その魅力はあるものの、コンプレックス解消にはお台場は「?」。 |
ここで微妙なのは、再開発エリアです。例えば六本木。この町名自体は昭和42年の成立ですが、それ以前にも龍土六本木町、飯倉六本木町なる町名はありましたから、歴史自体はある街です。ただし、この街に住む場合、避けたいのは六本木ヒルズ。ご存知の通り、ITで成功した方々はここに住むのがお約束のようですが、以前から住んでいた地権者以外の住民は全国から集まった人ばかり。東京らしさは味わえません。六本木界隈で選ぶとしたら、お隣、麻布十番あたりでしょうか。特に古くからの地名を変更することに頑強に反対のある、麻布永坂町、麻布狸穴町はこだわりの強い住民が多く、ここに住めば根強い東京コンプレックスも吹き飛ぶこと請け合いです。
では、歴史のある「全国区」な街として考えられるのはどこでしょう。まず、誰もが納得するのは銀座でしょう。ただし、銀座という町名がつく場所に住居を求めるのはほぼ無理。実際、マンション名に銀座を冠していても、町名は湊や入船、新富、築地……。この街の場合は多少妥協して、こうした周辺エリアも銀座と考えるしかありません。
表参道も納得度の高いエリアです。町名で言えばやはり南青山。3丁目、4丁目、5丁目あたりがベストですが、家賃を考えたら、距離のある6丁目、7丁目も。7丁目であれば、広尾にも近いので、ダブルにおトクかも知れません。意外に古いマンション、アパートが多いので、ちょっと無理すれば住めないことはありません。
恵比寿駅前で毎年行われる盆踊り。なんだあ、ウチの田舎と同じと思われるのでは。 |
「全国区」ながら、いまひとつ、おススメしにくいのが、渋谷、新宿。歴史はありますが、やはり、古くからの住民の少ない場所というのがその理由。それでもどうしても渋谷というなら、松涛や神山町に住んでコンビニのない、これまた東京らしくない生活を体験してみるのもいいかもしれません。
ちょっと郊外の「全国区」、下北沢、三軒茶屋、自由ヶ丘、吉祥寺はどうでしょう? もし、あなたが20代なら下北沢、三軒茶屋も悪くはありませんが、どちらかといえば、お勧めは自由ヶ丘か、吉祥寺。中でもお勧めは、自由ヶ丘周辺の奥沢、八雲あたり。落ち着いた住宅街で紀ノ国屋やシェルガーデンを行きつけとし、仕出屋さんと馴染みになる、ちょっと前の東京山の手ライフが楽しめます。