整然とした並木道やクラシカルな印象の駅舎で有名な国立は、住環境を守る意識の高い住民が多いことでも知られています。あの美しい街の住み心地をみていきましょう。
国立の位置関係は?
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中央線、南武線に挟まれた地域が国立の中心部。南武線と平行して甲州街道が走っている |
大学とともに発展、
環境を守るため、住民が「文教地区」を選択
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大学通りのクリスマスイルミネーション。一橋大学手前までの、商店街エリアに点灯される |
新宿から中央線快速利用で32分。国分寺と立川の間ということから、国立と名づけられたこの街は、一橋大学誘致にあたって作られた整然とした街並みがなにより印象的です。大正15年に作られた、白壁に赤い三角屋根の駅舎から、南にまっすぐ伸びる大学通りは片側2車線の車道に自転車レーン、歩道、グリーンベルトを含め幅44m。9mものグリーンベルトには200本近くの桜、100本以上の銀杏が植えられ、春には桜、秋には紅葉を楽しむ人の姿が絶えません。年末にはクリスマスのイルミネーションも有名です。
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さくら通りも桜、銀杏の名所。紅葉の時期には赤、黄色に美しく染まる |
大学通りだけでなく、国立には整備された並木のある通りが少なくありません。また、通りから住宅地に入っても、街並みに配慮した外観、きれいに手入れされた植栽のある住宅が目につきます。この意識の高さが国立の住環境を守っているのです。
その象徴が駅前のロータリーに建つ「国立文教地区」の看板。文教地区とは都条例で指定されるもので、建てられる建物の種類を制限します。この制限自体は建築基準法の定める用途地域ごとにあるのですが、文教地区はさらに厳格。住宅や教育文化施設の周辺を中心に、風俗営業関連の建物やホテル、劇場、遊技場や馬券発売所など、風俗を乱す恐れがあると都知事が指定するものが規制されることになっています。
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歴史的な建造物も多い一橋大学構内。カップルの散歩の名所でもあるとか |
一橋大学、国立音楽大学、桐朋学園など、この地には学校がたくさんあります。だから、文教地区か、と思われるかもしれません。しかし、国立の場合、それが文教地区指定最大の要因ではありません。1950年代、朝鮮戦争勃発で、隣接する立川の米軍基地が活況を呈し、米兵相手のいかがわしい商売が増えたのに対し、街の環境を守ろうと市民、学生が運動を起こした結果なのです。
音楽や芸術が身近にある
文化度の高さもこの街ならでは
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都内最古という喫茶店ロージナ茶房。石原都知事も学生時代に通ったとか |
住民の意識、関心が向いているのは環境だけではありません。文化全般への意識も高く、例えば、この街には音楽を楽しめるライブハウス、コンサートホールや生演奏を楽しみながら食事ができるレストランなどが20カ所以上もあります。クラシックからジャズ、シャンソンにカントリー……、ジャンルも様々です。また、20余件ものギャラリーがあり、こちらも多様な分野での展示が楽しめます。
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市内では骨董店や焼き物などを扱う店も目につく |
聞く、見るだけではなく、習うことにも熱心なのが国立マダム。音楽から踊り、料理、アロマや英国スタイルの花飾りなどなど、多種多様なクラスが市内あちこちで開かれているそうです。
緑に湧水など
武蔵野の自然が残るエリアも
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城山周辺には湧水の上を歩く遊歩道が整備されている |
市内を走るもう1本の路線、南武線から南は武蔵野の面影を色濃く残すエリア。矢川や府中用水などの水路周辺では今でも豊富な湧水が見られ、その眺めを楽しむ遊歩道も整備されています。さらに、多摩川まで行けば、サイクリングやジョギングはもちろん、釣りを楽しむ親子連れの姿も。タナゴや鮒、鯉はもちろん、最近では鮎なども釣れるとか。多摩川沿いでは梨狩りもできます。
では、気になる住宅の相場はどうなっているか、次ページで見ていきましょう。