住みたい街 首都圏/子育て・環境重視の街選び

独自教育を行う自治体をチェック(東京編)

ファミリーにとって子どもの教育は大きな関心事。特に最近は自治体による内容の違いが大きくなっています。ここでは構造改革特区制度を利用、独自の教育を行っている自治体を紹介します。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

通学風景
教育に力を入れ、独自色を出そうという自治体が増えている
構造改革特区とは特定の地域にだけ、全国一律の規制とは違う制度を認める仕組み。構造改革推進、地域の活性化のために設けられた制度で、平成14年にスタート。平成15年の第一回から始まり、平成19年3月まで、13回の認定が行われています。特区としての内容は多岐にわたりますが、ここでは自治体独自の教育を可能にする特区として認可を受けた自治体を紹介します。

足立区
小中一貫教育による人間力育成特区


平成16年に行われた「児童・生徒の学力向上を図るための調査」(中学2年生対象、東京都実施)ですべての科目で23区内平均を大きく下回る結果を受けて、教育問題に取り組んできた足立区。同年11月には文部科学省の「新しい学校運営の在り方に関する実践研究」指定校だった五反野小学校を地域の声を反映させた学校づくりのモデル校として全国で初めて指定、地域に開かれた学校としてスタートさせ、話題を呼びました。

それに続く、足立区全域の取り組みとして挙げられたのが小中一貫教育。具体的には義務教育の9年間を4年、3年、2年に分けて、年代に応じた指導を行う、教育の初期段階で国語、算数の授業時間を増やす、外国人の特別非常勤講師を採用、語学教育に力を入れる、各種検定の取得を目指すなど。実施は一部平成17年4月からスタート、全事業の開始は平成18年4月からになります。

また、足立区では非常勤講師を活用、少人数学級化も進めていく計画となっています。

荒川区
国際都市「あらかわ」の形成特区


平成22年度に開業が予定される成田新高速鉄道で日暮里が成田と直結、世界への窓口になることを踏まえ、国際交流を深めようという荒川区。そのため、区が力を入れようとしているのは英語教育。小学校の全学年の教育課程に英語科を配することで、小中一貫の英語教育を実現するとしています。

小学校の英語の授業は週1時間、これを続けることで、平成22年度には「外国人から道を聞かれても英語で答えられる」程度の語学力を全児童に付けさせることが目標とされています。また、中学校では全学年で英語の授業時間を105時間から140時間に増やし、中学3年全員の英語検定の取得、うち2割程度の生徒の英語検定準2級取得を目指すそうです。

品川区
小中一貫特区

品川区の小中一貫校のパンフレット
ネット上でも見られる、小中一貫校に関する解説パンフレット
小中一貫校の先駆と言えば品川区。同区の小中一貫教育には施設が一体になった一貫校と、施設は分離しているが近隣の小中学校が連携しているタイプの2種類があり、人気が集中しているのはまだ2校しかない施設一体型の一貫校。平成18年開校の日野学園(五反田)、平成19年開校の伊藤学園(西大井)には最先端の体育館や設備が揃い、子どもを入学させるため、学区域に引っ越す家族も少なくありません。

施設一貫校は今後、荏原地区に2校、八潮地区、品川地区に各1校の新設予定があるそうですから、関心のある方は早めにチェックしておくといいかもしれません。

また、同区の教育で特徴的なのは、全学年で英語科と区独自の科目「市民科」があること。市民科は「自らのあり方や生き方を自覚し、生きる筋道を見つけるための教養と社会との関係で自己を確立する力の育成」が目標とされており、簡単に言うと、社会人としての常識やコモンセンス、社会性などを養い、自分の生きる道を考えるというような内容でしょうか。この科目には独自の教科書が用意されています。

では、次ページでは杉並区、世田谷区、千代田区、港区などを見ていきましょう。
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