住みたい街 首都圏/子育て・環境重視の街選び

独自教育を行う自治体をチェック(東京編)(2ページ目)

ファミリーにとって子どもの教育は大きな関心事。特に最近は自治体による内容の違いが大きくなっています。ここでは構造改革特区制度を利用、独自の教育を行っている自治体を紹介します。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

杉並区
小学校英語教育特区


英語に力を入れる自治体は多く、杉並区もそのひとつ。小中一貫教育の試行に伴い、小学校から英語教育を実施するとしています。具体的には1年生で年間17単位時間、2年生で同18単位時間、3年生以上では年間35単位時間とのことで、担任と英語科教員、外国人講師とチームを組んで指導を行います。平成17年4月から行われている小中一貫教育で試行、順次実施校を拡大していく予定です。

また、杉並区では区立小学校の教員を独自に採用するための養成学校や優秀な教師を「認定講師」とするなど、教員の資質アップにも取り組んでいます。

世田谷区
世田谷「日本語」教育特区


英語ではなく、国語を中心にすえるのが世田谷区。教科としての「日本語」を創設、語彙の習得、古典、漢文、近代の名文、詩などの学習、思考力・表現力の育成に加え、日本文化の理解、国際人としてのマナーの習得なども目指すものとしています。

小学校1年生の教科書には地元の民話や宮沢賢治の詩に加え、論語や杜甫の漢詩なども登場、音読で言葉のリズムや響きを楽しむ工夫もなされているそうです。

千代田区
千代田区立学校民間人材活用特区


千代田区は難関大学突破を目標に平成18年4月に中高一貫校「九段中等教育学校」を開校しましたが、上記は、その区立校で教員免状を持たない人材を教員として採用できるようにしたもの。当初は英語、数学の教員を増やす予定です。同校は区民以外の受験倍率が10倍以上と人気ですが、区民枠なら2倍未満。そのため、わざわざ住民票を移して受験する人もいるそうです。

また、千代田区ではすべての区立中学に教科担任制を導入。教科ごとに専門の教師が教えることで、児童の学力向上を目指しています。中学校では30人以下の少人数指導も特徴的です。

港区
国際人育成を目指す教育特区


英語を使う実践的能力、国際コミュニケーション力などを養うことで、国際理解を深め、国際人としての資質育成を目指すのが、「教育の港区」の方針。具体的には平成18年4月から小学校8校、中学校7校で実験的に特別な授業を行い、3年間をめどに、事業内容を評価検証した上で全校に拡大する予定とか。

具体的な方法としては小学校に国際科を新設、区が独自に作成する指導指針に基づいた授業を行うそうで、授業時数は1週あたり2時間です。中学校では英語科の授業時間を週3時間から4時間に増やします。将来的には小中9年間を一貫したカリキュラムで英語教育を行うと同時に、英語を学ぶための前提となる国語力育成のための読み聞かせ等の読書活動を拡充するなどの施策も取り入れられます。

東京都、葛飾区、八王子市では
対象を限定した特区制度も

東京都庁
自治体によっては複数の特区認定を受けていることもあり、東京都もそのひとつ
ここまでは公教育を受けるすべての児童・生徒を対象にした特区制度活用でしたが、それ以外に、対象を限定しての特区制度認定も行われています。たとえば、東京都では手話を中心にしたバイリンガルろう教育(手話を基本言語に、日本語の読み書きや各教科の教育を行うもの)を可能にする特区に認定されていますし、八王子市は不登校児童・生徒のための体験型学校特区として、不登校児童・生徒のための公立小中一貫校開校を実現しました。この、八王子市での成果を受け、現在ではどの自治体でも同様の学校を設立することができるようになっています。

葛飾区での幼稚園早期入園特区は満3歳にならないと幼稚園に入園できなかった制度を改め、3歳になる年度の初めから入園できるようにしたものですが、こちらも八王子市同様、今では全国的に適用されています。

以上、東京都の各自治体の、構造改革特区制度を利用した独自教育への取り組みを見てきました。今後、自治体による教育問題への取り組みには差が出てくるものと思われますから、早めにチェックしておきたいものです。

【関連記事】
「防犯、教育etc.で『子ども環境』をチェック」
「子どもに安全な街選び(1)チェック法編」
「子どもに安全な街選び(2)23区の取り組み編」
「子どもに安全な街選び(3)東京市部編」
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