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住宅価格が高い街って住みやすいの?(3ページ目)

家賃、分譲価格など住まいの値段は街によって異なります。都心が高い、駅に近いほうが高いなど、漠然と知ってはいるものの、価格と住みやすさにはどんな関係があるのでしょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

同じターミナル利用の複数路線、
駅からの距離でも家賃差は生ずる

国立市の一橋大学
大学など学校の多い街もイメージが高い。代表格が中央線国立駅
さらに同じターミナルから出ている複数路線を比べてみても、法則は同じ。古くから開かれた沿線、イメージの高い沿線ほど家賃、分譲価格は高くなります。例えば、新宿をターミナルとする主な沿線はJR中央線、京王線、小田急線がありますが、この中で一番家賃や分譲価格が高いのは、1889年と最も古くに開発された中央線です。残り2線では、京王線が1913年、小田急線が1927年と歴史的には京王線のほうが古いのですが、成城学園や新百合ヶ丘などの人気の街があって沿線イメージが高く、東京メトロ千代田線との乗り入れをしている分、小田急線のほうがやや有利なようです。また、池袋でいえば東武東上線と西武池袋線では、グループ全体で文化部門に強いイメージのある西武のほうが高めです。

バス
バス便を利用するエリアになると家賃、住宅価格ともに1割程度下がることも
駅からの距離も同様に便利さで考えれば分かりやすいでしょう。駅近くには商業施設などが多く便利ですし、通勤・通学にも便利。しかし、遠くなればなるほど、環境は良くなるものの、買い物は不便になることが多く、バス便利用になればなおさらです。

岡本周辺の急坂
世田谷区岡本周辺は国分寺崖線に沿って急坂が多く、坂の上には眺望のいいお屋敷も少なくない
ただし、一部には例外も存在します。例えば、世田谷区の等々力や岡本。どちらも最寄り駅からは遠く、周囲は住宅ばかりで買い物には不便そうな場所ですが、それでも周囲とは別格の、広くて高額な住まいが存在します。地名のブランド力や環境の良さが買い物の便利さなどの実利に勝ることもあるのです。

家賃が高い=一般的に便利、
問題はそれが自分にとって◎か、×か

環境の良い立地
しばしば環境の良さと利便性は相容れないこともある
さて、最後の問題は一般的に便利な街が自分にとっても便利で住みやすいか、という点です。個人的なことを申し上げましょう。私は急行停車駅に挟まれたブラックホールのような街に住んでいます。買い物や外食で両隣の駅にはしばしば出かけますが、同じ家賃で住めるとしてもそこに住もうとは思いません。便利さでは上だとしても、私が優先したのは同じ家賃で得られる住まいの広さと周囲の静かさだからです。

マンション室内
街に加えて、住まいにも優先順位や好みがある。となると選択肢はかなり多いということに
これは誰にとっても同じようにいえることだろうと思います。もし、同じ家賃あるいは分譲価格で便利で狭い住まいと、ちょっと不便だけれど広い住まいがあったら、どちらを選ぶか。選択はそれぞれに違うはず。もちろん、通勤先によっても違うでしょう。東京駅近くに勤めている人にとって千葉方面は通勤時間が短く、家賃や分譲価格も安い場所ですが、都心を横断して中央線沿線に住むとなると通勤時間は倍になり、家賃や分譲価格も倍とは言わないまでもかなり高くなるでしょう。それをどう考えるか。

下町の代表浅草
街の好みは人それぞれ。理由は、う~ん、分からない
また、実利以外にも好みの問題もあります。表参道は遊びに行く場所としては好もしいけれど、毎日暮らすとなると気取りすぎていると思う人もいれば、その緊張が快いと感じる人もいるでしょう。下町のざわざわした雰囲気が好きという人もいれば、人間関係の濃さを嫌う人もいるはず。

一般論としては便利な場所のほうがいいには決まっていますが、個人の問題として考えると予算や子どもの教育などを将来どうするかなども含め、必ずしもそうとは言い切れない。そのあたりが街選びの面白いところでもあり、難しいところなのかもしれません。
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