通勤・通学、買い物が不便な場合もあるが、
地域や勤務形態によって差も
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朝の通勤時間帯にバス専用車線を設け渋滞を避ける工夫もなされている路線もある |
次にバス便物件のメリットとデメリットを見ていきましょう。なんといっても不利な点は通勤、通学に時間がかかること。しかも雨の日や渋滞する通勤時などは所要時間が読めないこともあります。また、多くの場合、終電よりも終バスのほうが早いので、終バス後にはタクシーを使わざるをえないケースも考えられます。
お金面でいえば、通勤には手当てが出ても通学は自前ですから、バス通学にはその分の費用も必要です。平坦な場所なら自転車通学もできますが、その場合も駐輪場利用などに費用がかかることがあります。
とはいえ、通勤に電車を利用しない人や自宅で仕事をしている人には通勤の便は気にならないでしょうし、勤務先までバス1本ならさらに問題なしです。
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商店街の多くは鉄道駅周辺に広がっている |
生活面では商店街やスーパーなどが駅の近くにしかない街だとすると買い物に時間がかかりますし、バスを使えばそのお金も。医療機関や塾、予備校なども交通の便利な場所に集まりがちなので、バス便エリアは不利。とはいえ、最近ではロードサイドなどにスーパーや大型店が集まっている場所もあるので、すべてのバス便が不利というわけではありません。
バス便なら路線価で1割以上安いことも
駐車場料金の安さもポイント
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駅から遠ざかれば遠ざかるほど価格は安くなる |
逆にバス便の最大のメリットは価格。駅から遠ざかるほど価格は安くなりますから、バス便であればかなりお手頃になっていることが期待できるのです。例えば、世田谷区祖師谷で見てみましょう。ここでは駅の近くが3丁目、そして4丁目、5丁目と遠くなるのですが、国税庁発表の路線価(実際の取引価格よりは安いが、スポットではなく連続した価格が見られるため、こちらでチェック)で見ると、3丁目の駅前郵便局周辺は39万円~41万円/m
2。これが4丁目の17番あたりでは35万円~37万円になり、さらに遠い5丁目22番あたりでは33万円~34万円。明らかに遠ざかるほど安くなっていることが分かります。
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価格の変動が顕著な成城通り。といっても下がってもなお、いいお値段ではある |
もっと顕著に価格が変化する例が成城学園の成城通り。この通りが始まる5丁目17番の路線価は65万円ですが、駅から1ブロック遠ざかるにつれ62万円、61万円と下がり、7丁目10番では54万円、なんと1m
2あたり11万円も安くなっているのです。この場合で駅からの距離は1km弱。不動産表記的にいうと、徒歩10分ちょっとで、バスがあれば乗ってもいいなというところ。つまり、これ以上遠い、確実にバス便というエリアなら、かなり安くなることが期待できるわけです。
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駅からの利便性で劣る部分は広さや設備などでカバー、付加価値をつけようとデベロッパーは考える |
もちろん、ここで挙げた路線価の例がそのままマンションの価格に反映されるわけではありません。売る側は利便性で劣るなら、共用施設や広さなどで付加価値をつけて、価格自体は下げないようにしようと思うからです。例えば駅前が4000万円の地域だとすると、バス便で2000万円ということはあり得ません。バス便でも3000万円以上、あるいは3500万円はするけれど、その分、同じ価格で1部屋多くて広い、リビングが広い、設備が充実しているなどということになるのです。
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バス便エリアなど敷地に余裕のあるところではメンテナンス不要の自走式駐車場が多く、その分管理費が安くつくことも |
また、駐車場代が安くて済むのもバス便エリア。都区部以外のバス便エリアでさらに大規模物件なら、駐車場代が100円、1,00円台、あるいは無料などという例もあるほどです。1万円、2万円の駐車場代を払っている人との差額を10年、20年で考えると、馬鹿にならない金額になるはずです。
最後に住環境と将来性について考えてみましょう。