住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

誰にでもできる、地震に弱い街の見抜き方(2ページ目)

地震に弱い街は見た目で分かります。軟弱で危ない地盤、地震で家屋倒壊や火災が発生しやすい街はこうすれば見抜けます!

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

お隣さんの壁や塀を見れば
地盤の硬さが分かる

クラック
斜面を切り取って建てられた家の土台部分にあたる塀。中心に大きなクラックが入っている。住んでいる人はもちろん、通りがかった人にも危険だ
軟弱地盤に建っている家は不同沈下を起こしやすいもの。そこで現地周辺の古そうな一戸建てを敷地外から観察、沈んでいないかを見てみましょう。明らかに傾いている場合は当然×ですし、外壁、基礎にクラック(ひび割れ)がある、玄関ドアや網戸などの建具がゆがんでいるなどの場合も危険信号。特に基礎の床下換気口周辺に離れた距離から見ても分かるほどのクラックが見られたら、赤信号です。

切土
斜面を切り取るようにしてマンション建設が進んでいる現場
傾斜地では斜面の土が崩れるのを防ぐために設けられる壁、擁壁の様子も要チェック。傾斜地を造成する時には斜面に土を盛って作る盛土(もりど)と土を切り取って平地を作る切土(きりど)の2種類があり、それに応じて擁壁の作り方が異なります。盛土では斜面に盛った土が崩れないように垂直に支えるタイプが多く、切土では切り取った部分が崩れないようにブロックで斜めに抑えるタイプが中心になります。

危険度が高いのは前者で、さらに鉄筋コンクリートの土台部分と上部に積まれたコンクリートブロックの間がずれていたり、ブロックが手前に傾いていたり、目地がずれているなどの変形が見られたら避けたほうが無難。建物が沈下するだけでなく、地すべりや倒壊の危険も考えられるからです。ただし、盛土、切土については見ただけでは分からないこともあるので、造成した会社などに聞いてみてください。

意外!古い商店街の近くも
危険度は高い

路地
路地が続くエリアは地震、火災など災害には弱いとされる
地震の揺れで怖いのは建物が倒壊、さらにそれが炎上したり、倒れた建物が逃げ道を塞ぐこと。その危険度の指標となるのは倒れやすく、燃えやすい古い木造住宅と家屋が倒れると道が塞がれてしまう幅4m以下の道路、路地、そして一方向にしか逃げられない袋小路のような行き止まりの多さです。これについては「災害に強いのは燃えない、逃げられる街」で詳しく解説していますので、ご覧ください。

キラキラ橘商店街
墨田区京島にあるキラキラ橘商店街。周辺は路地、古い木造家屋が並び、地盤もあまり丈夫ではないため、区画整理など地震に強い街作りが進んでいる
もうひとつ、意外なのは古い商店街の近くには危ない場所が多いこと。以前、「東京で一番地震に弱い街はどこ?」という記事を作るため、危険度が高い街を歩き回ったのですが、大田区の商店街密集エリアはもちろん、下町でも中央線沿線でも近くには古くからの商店街がありました。しかし、理論的に考えてみるとこれは当然です。歴史的に見れば高いところに殿様やお坊さんが住み、その足元に庶民が住んで商店街を作ってきましたし、歴史がある街に古い建物があるのはこれまた当然。車社会になる前に作られた街なら、道を広くする必要もなかったはずです。

とはいえ、商店街の近くは住みやすいもの。利便性か、安全性か、どちらを優先すべきかは難しい選択。理想としては徒歩圏に商店街があり、実際に住む一画は古い住宅や路地の少ない、不燃化の進んでいる場所を選ぶのが賢明かもしれません。
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