2つの河川に囲まれた意外に新しい、
緑の多い低層住宅街
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神田川沿いの高台にある塚山公園では縄文時代の住居が復元、展示されている。神田川沿いには桜が植えられ、遊歩道が整備されている |
浜田山はその名の通り、神田川と善福寺川に挟まれた高台に位置します。ただし、地名の由来は新しく、江戸の商人浜田家の持ち山があり、その林の中にあった浜田家弥兵衛の墓参りが周囲に菓子を撒く派手さで有名だったため、「浜田家の山」と通称され、それが昭和9年に駅名になり、町名として採用されたのは昭和44年。神田川、善福寺川周辺の高台から約3万年前の縄文時代の遺跡が発掘されていることからも分かるとおり、古くから人は住んでいたものの、街としての確立は意外に遅かったのです。
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杉並区のコミュニティバスすぎ丸には高円寺から浜田山のけやき路線、浜田山から上北沢、桜上水を経由、下高井戸との間を循環するさくら路線がある |
さて、その浜田山は渋谷から京王井の頭線の各駅停車利用で10数分。京王井の頭線の他の駅と同様、コンパクトなというか、非常に小さな駅で一日の乗降客数は約2万8000人。2008年以降は増加傾向にあります。阿佐ヶ谷~浜田山~下高井戸を結ぶ杉並区のコミュニティバス「すぎ丸」2路線の中間地でもあります。
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メインロード商店街には西友、壱番街にはコモディイイダなどのスーパーがある |
駅を降りると南北口ともに商店街がありますが、中心は駅とその北側を走る井の頭通りとの間にあるメインロード商店街。個人商店に加えて24時間営業の西友などもあります。銘ロード商店街では街路にリースや街頭ポスターを飾るなど、ここ2~3年、商店街活性化に取り組んでおり、季節ごとに目を楽しませてくれます。さらに線路と平行に走る壱番街商店街や住宅街の中にも商店、飲食店などが点在しています。が、もし、浜田山は初めてという場合には、メインロード商店街に平行する低層集合住宅「ライブタウン浜田山」を覗いてみてください。
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公道に面した部分のライブタウン浜田山外観。実際に行ってみると緑、建物の印象はもっと強烈。ただし、内部は私有地なので無断での立ち入りは避けたい |
「ライブタウン浜田山」は1977年に竣工した全97戸、3階建てのタウンハウスで商店街に面した1階は店舗になっており、その背後が住宅。細い路地のような通路、たっぷりの植栽、ところどころに設けられたベンチや水飲み場に外壁の煉瓦タイルが印象的なこの物件は1階はフラットな住戸で2階、3階はメゾネット住戸という珍しいスタイル。マンションと一戸建ての中間とでも言えばいいのでしょうか、あまりない分譲物件です。しかも、30年以上が経過しているにも関わらず、成長した木々に囲まれた姿には色褪せた感じはありません。逆に魅力を増し、風格を湛えているようにすら見えるほどで、私にはこの風景がいかにも浜田山らしく思えます。
大地主、大企業所有の跡地が
公園、マンションに再生、人気アップに一役
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広場やテニスコート、日本庭園、池などのほか、区の防災倉庫などもある柏の宮公園。斜面部分には林も広がり、緑の量は圧倒的 |
その理由としては緑の多い、一戸建てや低層の集合住宅が中心の街並みという見た目はもちろんですが、もうひとつ、元々大地主や大企業が所有していたグランド跡地などのまとまった土地の多い場所柄という点も挙げられます。「ライブタウン浜田山」だけでなく、浜田山小学校は地元の地主から土地の提供を受けて建てられたそうですし、2004年に開園した柏の宮公園、そこに隣接して現在建設が進む大規模マンション、同様に2003年に完成したマンションなどなど、例を挙げていけば切りがないほどです。
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企業のグランド跡地を利用した、柏の宮公園に隣接するマンション。この一帯には一戸建ても多く、きれいな街並みが |
こうした開発はいずれも土地にゆとりがあるため、駅から近いにも関わらず、駐車場を全戸分用意したり、敷地内、隣接する場所に広い緑地、公園などを設けるなどが特徴。住む人、周辺の人にとってもメリットのある開発が行われ、それによって街自体のイメージ、価値も上がっているのです。
次に街の様子、気になる住宅のお値段を見てみましょう。