年中出回っている落花生ですが、旬は秋
今しか味わえない「生落花生」
「生落花生」は、一般的に通年出回っている「煎り落花生」より早い時期の未成熟の状態で収穫します。だいたい8月下旬から9月の限られた時期のもの。「生落花生」と言っても、生で食べるわけではなく殻ごと茹でて薄皮ごと食べます。「煎り落花生」は煎ってから出荷されますが、生で出荷されることからそのように呼ばれています。もちろん茹でて冷凍保存しておけば、この時期以外でも食べられるのですが、収穫時期や量が限られているため流通にはのりにくく、もともとは農家さんや近隣地域の人たちが食べていたものだったとか。
最近はそのおいしさが広まり、生落花生が茹でたものを冷蔵して、あるいはレトルト包装などして売られるようになってきました。しかし一番美味しく贅沢に味わえるのは、掘りたてをすぐ茹でて食べることでしょう。
私も、「生落花生」をいただいたことがありますが、柔らかくてほんのりとした甘味やコクがあり、煎り落花生とはまた違うみずみずしいおいしさが新鮮な魅力でした。
「煎り落花生」は、「生落花生」よりもさらに1ヶ月ほど待って掘り、さらに野積みして乾燥させてから煎るなど、出荷までには時間がかかり、だいたい9~10月に収穫されて11月出荷されるのが一般的。スーパーなどで通年出回っているものの多くは中国産が多いようです。
落花生と言えば、もう一つ「ピーナッツもやし(スプラウト)」もあります。緑豆もやしや貝割れ大根などと同様に発芽させたもので、まだ一般のスーパーに並ぶほどではありませんが、大豆もやしよりもさらに大きめのもやしで、歯触りも楽しめます。
地中で実ができる不思議な豆
落花生、ピーナッツ、南京豆、地豆……。いろいろな呼び方がありますが、どう使い分けるのでしょうか。「落花生」「地豆」というのは、花が咲いた後に、子房の柄が伸びて地中に入ってから結実することからついた名前。食品成分表の分類では、種実類にされていますが、実はマメ科の植物なのです。南京豆とか唐豆というのは中国か伝来したことを示していますし、ピーナッツは英語です。また正式な定義はないようですが、殻がついている状態を落花生、殻を取り除いて薄皮つきの状態を南京豆、薄皮を取りのぞいたものをピーナッツと呼ぶことが多いようです。
南米原産で紀元前から自生していたといわれ、コロンブスの新大陸発見により世界に広がったとか。日本には、江戸時代に中国から渡来しましたが、本格的に栽培が始まったのは、明治時代にアメリカから大粒種が入ってきてからです。
落花生には、大きく分けて大粒種(バージニア型)と小粒種(スパニッシュ型、バレンシア型など)があり、大粒種は味が良いのでそのまま食用に、小粒種は油用やピーナッツバターやクリームなどの加工用として利用されます。