水戸で納豆、宇都宮で餃子、さいたまでスパゲティ?
ベーコン、ブロッコリーもさいたま市の消費量は日本一。これぞ、ザ・さいたま市パスタ! |
うどん食の歴史がスパゲティ好きにつながった?
しかし、さいたま市と聞いてスパゲティと思う人はまずいないはず。日本を代表するスパゲティ料理ナポリタンは神奈川県横浜市生まれだし、その亜流イタリアンとジャンクなあんかけスパゲティは愛知県名古屋市生まれ、スープスパゲティは新潟県新潟市生まれである。ただし、近いものでいえばうどんがある。関東では北がうどん文化圏、南がそば文化圏と言われ、さいたまは間違いなくうどん文化圏。江戸時代、庶民ののんきな生活を「朝まんじゅうに昼うどん、夜は裸で渋うちわ」と表現していたほど。まんじゅうもうどんも小麦粉から作られるものだし、スパゲティも同様。さいたまは昔から小麦粉食にはなじみがあった土地柄なのだ。実際、国内の普通小麦の生産量で見ると埼玉県は全国5位である。
主婦の忙しさとスパゲティ消費量は比例する
では、うどんがスパゲティに変わり、消費量全国一位になったのはなぜか。さいたま市広報に問い合わせてみる。だが、正式な答えは「以前から消費量が多いということは知ってはいました。ただ、市としては何もしていませんから、どうして多いかは分かりません」……。しかし、広報担当者は「個人的な解釈ですが」と断りつつ続けた。「さいたまは若い共働きファミリーが多いので、短時間に簡単にできる家庭料理としてスパゲティは便利なんじゃないでしょうか。だから消費量も多い」。
確かにご飯を炊くより、スパゲティを茹でるほうが早い。そこにあれこれ具材を混ぜてしまえば、主食とおかずを別々に作るより楽チン。そうした目でスパゲティ消費量の多い都市を並べてみると2位・仙台市、3位・横浜市、4位・川崎市、5位、東京都区部と、確かに都市化の進んだ平均年齢が若い地域が中心だ。共働きも多いと思われる。
つまり主婦の忙しさとスパゲティ消費量は比例するというわけ。さいたま市の場合には、そこに元々小麦粉食文化になじみがあったという個別の条件もあり、ダントツ1位の座を獲得し続ける結果につながったのだろう。というわけで男性の皆様、今夜の晩ご飯がスパゲティだったとしてもがっかりしないこと。働く妻は忙しいのである。
■1人当たりスパゲティ消費量の多い都道府県庁所在市別ランキング
全国1,049円
さいたま市1,462円
仙台市1,305円
横浜市1,305円
川崎市1,278円
東京区部1,252円
*平成17~19年平均の家計調査品目別データ(二人以上の世帯の一世帯あたり年間支出金額および購入数量)より。総務省統計局調べ