大岡山、住宅街と学生街のいいとこ取りの街(2ページ目)

大岡山に多いものは
桜、坂、格闘技ジムに予備校……

住宅街の中をくねって続く九品仏川緑道。途中にはベンチなどもある

さて、大岡山でラーメン屋さん、パン屋さんと並んで目に付いたのが桜。昭和25年以降に植えられたという東京工業大学の桜はいまや、近所では知らない人がいないほどで、花見の時期にはキャンパスが開放され、多くの人で賑わいます。このほか、都立大学から続く呑川緑道、自由が丘へ向かう九品仏川緑道沿いには桜があり、季節には散歩が楽しいエリアとなっています。

緑ヶ丘に向かう下り坂。写真ではそれほどには見えないが、実際にはけっこうな急坂

地名が大岡山と言うとおり、この地は高台で周囲との間には坂。前出の呑川、九品仏川方面へは当然坂を下りますし、桜の名所でもある洗足池方面へも下ります。場所によってはけっこう急坂もあります。そのため、富士山が見える坂もいくつかあり、国土交通省関東地方整備局が選定した「関東の富士見百景」でも『目黒区大岡山地区からは、東急大井町線沿いに数カ所「富士山の見える坂」があり、空気の澄んだ朝夕にはくっきりとした富士山が見られる』と紹介されているほど。山手線から電車で10分ちょっとの地とは思えないほど、自然に親しめる場所というわけです。

鮮度が良いと評判の商店街の中の肉屋さん

また、進学塾や予備校、理髪店も多く、不思議なところではキックボクシング、空手など格闘技系のジム、進学塾や予備校も目立つところ。住んでいる人に聞くと、肉屋さん、八百屋さんなどの鮮度も良いそうで、暮らしに必要な要素、楽しめる要素があれこれ揃っている街といえます。

大岡山と周囲の位置関係概念図

一戸建て、賃貸中心エリアで
予算はやや高め

通り沿いにも高い建物はほとんどない。右手の商店の裏手では珍しくマンション建設予定地の看板を見た

さて、気になる住宅事情ですが、住宅街の様子からも分かるように、基本は一戸建てと賃貸のエリア。大規模なマンションが建ちそうな土地はほとんどありませんから、マンションを購入するなら中古を狙うのが手でしょう。といっても、それも数は少なく、かつ40m²、50m²といった広さが中心で価格は2000万円台～。石川台周辺まで範囲を広げて探すほうが見つかりやすいでしょう。

駅近くで見かけた一戸建て売り出し中の掲示。1階に駐車場のある3階建ての住宅のようだった

マンションに比べれば一戸建てのほうが探しやすいようで、あちこちで宅地分譲、新築分譲の掲示を見かけました。価格は土地だけで4000万円の後半から5000万円程度。建売住宅となると、6000万円以上が目安となります。中心となるのは土地面積70m²から80m²の3LDK、4LDK。10分ちょっとも歩くと、隣の駅に出てしまうため、徒歩10分以上歩く立地はありませんが、その分、あまり安い物件もありません。

新旧のアパートが混在する駅周辺。細い路地も多い

賃貸の供給はワンルームや1Kといった単身者向きが中心で、古い木造アパートあれば4万円、5万円という物件も。ただし、一般的なワンルームマンションであれば7万円から8万円以上は必要です。2DKなどカップル向きではアパートで10万円前後、マンションになると10数万円以上で、賃料自体はそれほど安い街ではありません。

実は友人が住んでいます。遊びにと住みやすそう！と羨ましく思う街、大岡山。お勧めです

しかし、都心への近さや商店街などの充実に加え、自由が丘や都立大学、洗足池その他周辺に楽しいスポットが点在している立地を考えると、大岡山はシングル、カップルにはお勧めの街。特に、夜中までバリバリ仕事をするほどではないけれど、それなりに忙しい、でも週末はのんびりおウチでの生活を楽しみたい人はぜひ、候補に入れてみてください。