水 夏希さんの相手役というだけあり、大人の女性の役が多かったのですが、常にきっちりとしっかりと演じてきました。
芝居のセンスは抜群で、滑舌がよく耳障りの良い声。
台詞に説得力があり、自然で、余韻さえ感じさせ、台詞の持つ力を存分に発揮できる娘役さんでした。
また手足が長くプロポーション抜群。踊る姿はカッコよくしなやか。水さんとのデュエットダンスも美しく、名シーンを残しました。
ただ…何かを閉ざしているように感じられ、その膜が1枚ポンと破れたなら…いい意味で舞台で遊べる余裕が生まれたなら…もっと明るく魅力的になるのに……。
その日がまだ来ぬうちに退団となったのが非常に残念です。
『Carnevale 睡夢』 (C)宝塚クリエイティブアーツ |
トップ娘役、しかも大先輩、水 夏希さんの相手役という重責は相当なものだったことでしょう。
またサヨナラ公演中に、お父様、つかこうへい氏の死という、それ以上ない大きな悲しみもありました。
多くの波を乗り越え、千秋楽まで走り続けた彼女の強さに感動します。
水 夏希――17年間。
愛原実花――6年間。
宝塚歌劇団の舞台人という道の長さ太さは違えど、縁あってコンビとなった二人の幕が今下りました。
役者にはゴールはありません。ゴールのない道を、自らの価値を求めひたすら走り続け、これ以上ない結果を出した水 夏希、それに必死でついていった愛原実花に「お疲れ様…」と、レースを終了させてあげましょう。
ちかちゃん、みなこ……
お疲れ様。そしてありがとう。
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