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空室募集の実態を知って不動産会社をうまく活用しよう 空室募集の実態

なぜ、募集を依頼している不動産会社は、広く空室情報を周知させないのか?そこには不動産会社なりの事情があるからである。

浦田 健

執筆者:浦田 健

アパート・マンション経営ガイド

前回、空室を早く埋めるには入居希望者に広く空室情報を周知させる必要性を解説した。
 あなたの空室情報が広く公開されている場合は、掲載されているインターネットや情報誌の文末に(*)マークがついている。
 逆に(*)マークが付いていない場合は、空室情報が広く入居希望者に周知されていない。この場合、不動産会社にあなたの物件を広く周知させることが重要だ。

 なぜ、募集を依頼している不動産会社は、広く空室情報を周知させないのか?そこには不動産会社なりの事情があるからである。

 今回は、(*)マークの秘密と不動産会社の事情について解説したい。不動産会社の事情をあなたが把握することで、良きパートナーを選別することができ、不動産会社をうまく活用することが出来るようになるだろう。

不動産会社はなぜ空室情報を公開しないのか?

不動産会社の収入源は、仲介手数料が主となる。
 賃貸物件の場合、仲介手数料として家賃の1ヶ月分が不動産会社の収入となる。
 その他の収入として、広告料収入があげられる。広告料の相場は空室家賃の1ヶ月分が相場である。
 あなたの空室家賃の1ヶ月分が仮に10万円だとしよう。契約の時点で不動産会社は10万円の収入を仲介手数料とは別に広告料として請求するのが一般的だ。(入居者が契約時に不動産会社へ支払う契約金《前家賃や礼金等》の中から広告料を相殺するのがほとんどである)
  解りやすく図解すると次のようになる。



 不動産会社Aは、あなたの空室情報を他の不動産会社に紹介しないで、入居希望者と契約が出来た場合、収入は20万円となる。
 しかし、他の不動産会社に空室情報を公開し、契約に至った場合には、不動産会社Aは、紹介料として10万円(家賃の1ヶ月分)をその不動産会社へ支払うことになる。
 不動産会社Aが20万円の収入を得ようとするならば、自社だけで入居希望者を見つけて成約する必要がある。
 この場合不動産会社Aは、空室情報の広告には(*)マークをつけないで掲載をする。すると他の不動産会社は、仮に入居希望者がいてもあなたの空室情報を紹介できないのである。

 売買物件の場合、募集の依頼を受けている不動産会社は、レインズ(不動産流通機構)に物件情報を掲載(専属専任募集の場合、依頼を受けた日から5日以内)しなければならない。
 ところが、賃貸物件の場合、情報の公開義務は無い。極端なことをいえば空室になっていて、募集をしなくても依頼を受けている不動産会社は、罰則がないのである。

 自社の利益追求を先決に考えている不動産会社をあなたがビジネスパートナーとして選択すると、空室期間は長期化する可能性が高い。
 そこで空室期間を短くするための対応入居者からのクレームへの敏速な対応を行っている不動産会社をパートナーとして選ぶことがきわめて重要になるのである。

広告料の必要性

入居希望者に空室情報を広く伝えるには、あなたも不動産会社に広告料で協力しなければならない。
 空室情報を公開する手段としては、現地の募集看板・垂れ幕・インターネット・不動産会社間の流通・・等費用は掛かる。あなたが広告料の支払いを約束すれば、より多くの入居希望者の目に触れさせることが出来る。
 ただし、空室情報が広く公開されているかどうかをあなた自身が把握しておかなければならない。あなた自身が空室募集の実態を把握していなければ、悪徳不動産会社に利益を与えているだけになる。
 次回は紙媒体ではないインターネットを通じた募集方法について解説したい。

関連リンク
空室募集の構図 [All About アパート・マンション経営]
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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