押入れは使いにくい?奥行きの深さをリフォームで活かす
一間幅の押入れは、内寸で幅1m65cm、扉をはずせば奥行き90cm程度あります。この奥行きの深さが押入れの最大の特徴で、布団を仕舞うにはちょうどいいのですが、それ以外の収納として使うには深すぎて不便です。標準的な一間幅の押入れの内寸。特徴的なこの奥行きの深さを活かしたリフォームを。
よく見かけるのが、使っていない布団を押し込んでいたり、古い家電や季節品がギュウギュウ詰めになっていたり、とりあえずの雑多な収納庫になっているケースです。中には、使えているのは手前の40cmくらいだけ、奥は見えないので、何が入っていたか思い出せないなんて声も。押入れは想像以上に面積を取っているので、これはとてももったいないことです。
そこで今回ご紹介するのは、この深い奥行きや、大きさを活かしたリフォームのアイデア事例です。不要なモノは思い切って処分!リフォームの工夫で、押入れを新しい空間に生まれ変わらせて楽しく暮らしましょう。
スライド家具で奥行きをめいっぱい使う、2400冊の本収納
押入れ再活用リフォーム-1
押入れを収納として使う時にネックになるのが奥行きの深さです。でもだからこそ、大きな容量があるわけですから、奥まで使いやすい工夫さえすれば、大容量の便利な収納スペースに生まれ変わります。奥まで使いこなせて便利なのが引き出しセットです。イマドキのキッチンでは引き出し式収納が人気なのも同じ理由です。キッチンのキャビネットは奥行65cm程度で、小さな台所用品を収納するには深すぎます。そこで奥まで見やすい引き出し式キッチンが売り出されると、これは便利と大人気になりました。
向かい合わせの2箇所の押入れをリフォームして2,400冊の書籍を収納できるようにしている(ip20)
上の写真は2箇所の押入れにスライド式の造り付け家具を取り付けて、使いやすい本の収納庫にリフォームした事例です。2,400冊の本を収納するには、普通の本棚なら幅5m以上が必要になり、また押入れに積み重ねて仕舞い込んでしまえば、二度と出し入れすることはないでしょう。
でもこんな風に、引き出し式のスライド家具を取り付ければ、いつでも読みたい本が取り出せる書庫になります。ただし押入れに引き出しを付ける際は、奥が深い分、引き出す重さを考慮した設計が必要になります。こちらも重量に耐えられる頑丈なレールやキャスターが取り付けられています。
押入れは容量が大きいからこそ、作り方次第で、こんな風にとてもたくさんのものが便利に収納できるようになります。
裏からも使って60cm+30cm、使いやすい奥行きの収納を2つ作る
押入れ再活用リフォーム-2
押入れの奥行きは、敷居の幅を入れて約90cm。クローゼットや小物収納として使うには深すぎます。ちなみに、使いやすいクローゼットの奥行きは60cm、小物の場合は30cm~45cmです。そこで!押入れまわりの間取りをチェックしてみましょう。押入れの背面の壁が、廊下や他の部屋に面していたらチャンスです。反対側からも開口して、今まで手が届かなかった奥の部分を、裏側から使えるようにリフォームしましょう。奥行きを分ければ使いにくい押入れも、使い勝手のいい2つの収納に変身します。
奥行き60cmはクローゼットにピッタリの寸法。パイプや棚を付けて(パナソニック)
奥行き30cmは小物や本棚、飾り棚としても。奥行が浅い収納スペースは使い勝手がいい(パナソニック)
押入れの奥行き90cmを、60cmと30cmに分けるリフォームをすれば、クローゼットと小物の収納や本棚にぴったりのサイズ!もちろん45cm+45cmでもOKです。両方共に使いやすい収納として生まれかわります。ただし構造上、外しても問題の無い壁かどうか、専門業者にしっかりチェックしてもらうのを忘れないようにしましょう。
すっぽり入る設備いろいろ、部屋に+αの機能を追加
押入れ再活用リフォーム-3
一間幅の押入れの面積は0.5坪、これはちょうど畳1帖分の広さです。これだけあれば、実はいろいろな設備がすっぽり入るので、収納以外の機能を持たせて、新たな空間として有効利用することができます。押入れサイズの小さな書斎コーナー。3方向を囲まれると個室のような落ち着いたスペースになる(書斎リフォーム! 男の居場所より)
例えばキッチンや洗面台を設置すればミニキッチンやセカンド洗面台に、カウンターを取り付けすれば書斎になります。トイレやシャワーユニットも入ります。押入れサイズの設備機器は意外と多いので、ひとつ分あればリフォームの可能性が大きく広がります。
押入れの中にすっぽり納まるサイズ1m65cmサイズのキッチン(ティオ/LIXIL)
押入れは洗濯機+収納スペースとしても使い勝手のいいサイズです。洗濯機置き場に必要な面積は、ちょうどその半分ですから、残りの半分は洗濯や掃除用品の収納スペースにしたり、家事カウンターを取り付けたりすれば、小さな家事コーナーになります。
押入れ1つ分のスペースがあれば、リフォームの工夫で収納を充実させることができるのはもちろん、水まわりを作ったり、家事をラクにしたりと色々なことができます。
使い勝手のいいクローゼットの作り方は下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
押入れの中の不要品を見極める方法については、下記にガイドYuuが実際に捨てた物、捨てられなかった物をご紹介しながら、本当に必要な物を見極める方法について執筆していますのでご覧になってみて下さい。
【関連記事】
Copyright(c)2017 一級建築士事務所 Office Yuu,All rights reserved.