今回、軽井沢のリゾート物件事情を伺ったのは、軽井沢駅北口で昭和47年より賃貸、売買、仲介業を手がける「信濃地所」の営業課長・土屋裕介さんです。
6つのエリアからなる軽井沢
軽井沢のシンボル浅間山。浅間山が見える別荘地を探される人も多い |
そんな宿場町が国際的なリゾート地として全国的に知られるようになったきっかけは、明治19年に英国国教会牧師だったアレキサンダー・ショーが軽井沢に訪れたこと。軽井沢の避暑地としての素晴らしさに気づいたショーは別荘を建て、その影響で、宣教師や大学教授、文化人などが多く集まるようになり、急速に避暑地としての歴史を歩むことになったのです。
以降、避暑地として約120年の歴史を育んできた「軽井沢」ですが、今では別荘地はいくつかのエリアに分けることができます。ショーが別荘を建て、最初に開発された「旧軽」こと旧軽井沢、「中軽」こと中軽井沢、さらに「新軽」、「南軽」、「南原」「南ケ丘」といったエリアです。「北軽」というのもよく聞きますが、これは群馬県のエリアなので、今回は長野県で見ていきましょう。
市場に出る前に売れる「旧軽井沢」エリア
緑陰したたる木立のなかに隠れ家のような佇まいを見せる旧軽井沢の別荘地 |
この旧軽井沢エリアは、建ぺい率、容積率が20%、20%の厳しく規制された地域がほとんど。そのため1区画1,000坪くらいの区割りで、ゆったりした街並みが形づくられています。
「旧軽井沢での物件は数が少なく、1,000坪くらいの土地が売りに出ると、それを300坪くらいの小さい区画に分けて売りに出る場合があります。300坪で一等地なら1億円はしますが、市場に出る前に売れてしまいます」と土屋さん。ブランドのなかのブランド立地。湿気が強くて決して日当りがいいとは言えない土地柄ですが、風格があり歴史の重みを感じさせるエリアで、庶民にはちょっと手が届かない価格です。
別荘地はすでに分譲が終了しているところがほとんどですが、旧三笠ホテルの西側には<旧軽井沢倶楽部>の別荘地があります。総区画数は154区画、全区画1000平米以上で、新規の分譲区画もあり、価格は2,000万円台から5,000万円台となっているようです。
定住しやすくて人気のある「新軽井沢」「南ケ丘」「南原」
軽井沢駅前のプリンスショッピングセンターにも近い、「南原」の別荘地や「新軽」と呼ばれる「新軽井沢」は、駅に近いエリア。旧軽井沢銀座の南側からしなの鉄道まで、東は軽井沢駅から約3km、西は軽井沢駅から約7km、プリンス通りの東側も含めた一帯を指します。このエリアはアクセスが良くて、別荘地もあれば定住している居住地域もあり、冬場も暮らしやすいところで人気です。「150坪~250坪の土地が主流で、新規物件だと7~8区画の分譲が多いです。価格は4,500万円~8,000万円くらいでしょう。供給数も多く、駅に近くと高くても売れますし、逆に傾斜地や別荘地のはずれだと割安感もあります」。
「南原」は、18号バイパスの北側で、しなの鉄道の南側、その「南原」の東側が「南ケ丘」になります。「軽井沢ゴルフクラブは軽井沢の中でも名門のゴルフ場なので、その周辺は雰囲気のいい別荘地です。人気もありますね。新規の物件はありませんが、中古別荘や仲介の土地が動いています」とのこと。
旧軽井沢のような霧が少なく、湿気も少なめ。明るい雰囲気で通年利用できるので人気が上昇中。300坪が中心ですが、地域によっては100坪くらいから購入できるところもあり、2,500万円から3,000万円台で手が届く場合もあるとのことです。
別荘地と住宅地が混在する中軽井沢
中軽井沢の人気スポットである村民食堂とトンボの湯。北側には野鳥の森と呼ばれる豊かな自然が広がっている |
千ヶ滝地区から旧軽井沢の間は、鶴溜と呼ばれるところで、ここも別荘地です。このエリアは傾斜地が多いため割安感はあるようです。ただ場所によっては冬場使えないところもあります。
塩沢湖より南側が「南軽井沢」です。ここにはレマン湖という湖があり、ひと昔前には三越があったレイクニュータウン別荘地が有名ですが、ここも分譲は終了しています。
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