Aさんのケースで問題点はどこ?
このケースの場合、私には賃貸住宅に対する考え方に問題があるように思います。
例えば、「契約書に『ピアノ不可』って書いていなかった」という点。本当に契約書に「やってダメ」と書いてなかったら、何をやってもいいのでしょうか?
いいえ、決してそうではないのです。
「特別な防音施工のされていない賃貸住宅でアップライトピアノを夜弾く」という行為は許される?と、数人に聞いたところ、「それはちょっとダメなんじゃない?」と答える人のほうがたくさんいました。契約書に書いてなかったのだからピアノを弾いていても違反じゃないかもしれないけれど、一般論としては賃貸住宅では楽器は不可。
やはり集合住宅の特徴は自分たちだけの住まいではないのですから、円滑に暮らしていくには、お互いのことを気遣う必要があります。この点をもう少し配慮して暮らしていれば、Aさんも階下の人から苦情を言われることはなかったかもしれません。
そして、契約するときに「将来ピアノを習わせたいのですが、いいでしょうか?」と不動産会社や大家さんに確認し、もしOKならその旨を契約書に書いておいてもらっていれば、このトラブルはもう少し穏便に済んだと思われます。
結局は、ピアノを弾きたいならそれなりの部屋を探すべし
最初からピアノを置きたいと思っている人は、必ず「ピアノ可」物件を借りること。また、ピアノOKの旨を契約書にきちんと記載してもらっておくこと。こればトラブルを未然に防ぐ方法です |
楽器演奏についての騒音問題はよく起こるもの。トラブルを避けるには、まずは「ピアノ可」の部屋を借りること。当たり前ですが、やはりこれが何よりなのです。できれば、楽器演奏用に対応されている防音施工された物件を借りるか、一戸建てを借りる(ピアノ可の)などピアノ演奏に対応できる賃貸を探すしか方法はないのです。よく、「分譲タイプ」なら普通の賃貸より防音がいいからピアノ可なのでは?と言われますが、分譲タイプでも楽器は不可のケースが多いようです。
Aさんには、「不動産会社に『ピアノ弾いてもいいかどうか』確認してみたら?」とアドバイスしました。早速Aさんが問い合わせてみると、「ピアノの演奏は不可」と言われたそう。
そのときAさんは一言こうつぶやきました。
「じゃあ、消音装置でもつけなくちゃダメだね。あ~あ、最初からアップライトピアノじゃなくて、電子ピアノにしておけばよかったな」
・・・
このとき、私はある重大なことに気がつきました。それは、Aさんが「賃貸でも『電子ピアノ』なら弾いてもいい、音さえ外に漏れなければいい」と思っている点。果たして、この考え方は正しいのでしょうか?次回、その答えをお話しますが、その前にみなさまのご意見もお聞かせください。あなたの一票にぜひご協力を!