となると、今賃貸に住んでいる人はその部屋を退去しなければなりません。そのとき待っているイベント(?)といえば・・・?そう、誰もがスムーズに終わって欲しいと思っている、あの「敷金の精算」なのです。
敷金トラブルは増えている
本来、敷金は入居中に家賃を滞納したり故意に破損してしまったときに修理するための保証金として大家さんに預けておくためのもの。ですから、通常の使用で住んでいれば、退去するときにはほとんど返還されるはずなのですが、どうも通常使用による汚れや破損の修理・修繕費用を借主に負担させ、敷金を充当するケースが多く、トラブルの元になっていたのです。中には、預けた敷金より高額な請求をされることもあり、裁判になることも少なくありません。
こうしたトラブルを防ぐために、1991年には建設省(現国土交通省)が賃貸住宅の原状回復の費用負担の考え方をガイドラインにまとめて発表したり、東京都でも「賃貸住宅紛争防止条例」を施行し、通常の使用による部屋の汚れや損耗分は貸主の負担であることなどを不動産業者の宅地建物取引主任者が借主に説明することを義務付けたのです。(詳しくはこちら→)
でも、現実はどうやらまだ敷金トラブルが多いよう。全国の消費生活センターなどに寄せられた敷金の返還をめぐる相談は、2000年度は1万175件だったのに2003年度には1万5387件に増えています。
「裁判所」と聞くと、誰もがこんなイメージを持っているのでは?大げさな裁判を起こす気にはなかなかならないけど、小額訴訟なら簡単で誰でもできる |
敷金の精算に不満はあるものの、裁判を起こすとなると費用も時間もかかるし、そもそもどうやって手続きしたらいいのか、複雑そう・・・なんて躊躇し、結局は泣き寝入りしてしまう借主もいまだに少なくありません。
そこで今回は、時間も費用も手続きも比較的簡単な「小額訴訟」という裁判を紹介しましょう。
「小額訴訟」とは?
裁判と聞くと、手続きも費用も時間もとにかくすべて大変そうなので、小額の訴訟ならあきらめてしまうケースを救済するべく登場したのがこの「小額訴訟」。そのポイントは、
・請求できる金額は現金のみ ・請求金額は最大60万円まで (訴額は平成16年4月1日に30万円→60万円に変更されました) ・原則的に1日で審理を済ます ・同一裁判所には年10回まで訴訟を起こすことができる |
というもの。裁判に行って口頭弁論で審理が終わり、ただちに判決が出るものなので複雑な事案や複数の証人が必要な案件は小額訴訟に向かないのですが、敷金返還請求や賃料・管理費などの請求、また交通事故による損害補償などの裁判に向きます。
書類は簡易裁判所に定型フォームがあり、そこに書き込めばいいようになっているので、弁護士などに依頼する必要はありません。訴状の提出先は、相手の住所地の簡易裁判所です。
実際に加藤は小額訴訟がどのくらい簡単にできるのか裁判所にいって書類を書いて申請する前の段取りまでしてみましたが、申請書類も例にならって書けば素人でも書けるし、わからなければ相談員のおじさんが書類をみてくれるし、ホントに簡単に訴訟ができてしまうんだ・・・と、実感できました。