ED治療薬について
現在、バイアグラ(クエン酸シルデナフィル錠/25mg,50mg/ファイザー/1999年3月)と、レビトラ(塩酸バルデナフィル水和物製剤/5mg,10mg,20mg/バイエル薬品/2004年6月)、シアリス(ダダラフィル/5mg,10mg,20mg/日本イーライリリー、2007年9月12日)の3種類が発売されています。これらの薬の作用は、陰茎海綿体を拡張させて血液を流入させて勃起を促します。
少し専門的になりますが、陰茎海綿体は平滑筋という細胞組織でできています。その平滑筋は、性的な刺激を受けると、NO(一酸化窒素)を遊離します。すると、このNOは、平滑筋細胞内でグアニル酸シクラーゼという酵素を活性化させ、cGMP(サイクリックGMP)を増加させます。このcGMPが平滑筋を弛緩(しかん:緩むこと)させる作用があり、緩んだ海綿体に血液が流入し勃起の状態になります。
ここで、NOにより増加したcGMPは、PDE-Vという酵素によって分解され、陰茎海綿体内のcGMP濃度を調節して勃起の状態をコントロールします。
EDの薬は、このPDE-VというcGMPを分解する酵素の働きを阻害する効果があります。そのため、海面平滑筋内のcGMP濃度を増やし、その平滑筋を弛緩させ、さらに陰茎組織への血流を増やして勃起状態を維持するという作用があります。
…わかりにくいかもしれませんが、一番重要なのは、この薬は「性的刺激」によりNOが遊離されることによって作用しますので、催淫剤とは異なります。
現在発売されている薬の特徴は色々ありますが、代表的なところでは、バイアグラやレビトラの作用時間は4時間であるのに対し、シアリスは36時間の効果があるため、服用するタイミングを悩まなくていいというのがあるようです。
また、シアリスは、食事の影響を受けず、油ものの食事などを摂っても効果に影響がないといわれています。日本での発売は、これからですので、販売後の報告を待ちたいと思います。
なお、この薬の入手は、保険診療と異なり自費となります。医療機関によって検査する内容や、処方錠数も異なります。費用でご心配の方は、事前に電話などで調べておくといいと思います。
服用の注意について
服用に当たって、医療機関を受診し、医師の診断、指示の下、服用するようにしてください。特に、心臓に関する薬を飲んでいる人(硝酸剤(ニトログリセリンなど))、また、心臓の疾患や脳出血・脳梗塞の既往がある人、低血圧や高血圧で血圧のコントロールができていない場合、肝障害がある人、ウイルスの薬(HIV治療薬)や抗真菌薬(カビの薬)を使っている人は、服用できない可能性が高いです。
(※女性は服用できません)
もし、上記に当てはまりEDの治療を考えている場合は、他の方法も考えられますので、医療機関に相談するようにしてください。
ED治療薬も薬ですので、正しい量、正しい飲み方で、使ってくださいね。
※本記事は、ファイザー社、バイエル社、日本イーライリリー社のホームページならびに、プレスリリース等の記事を参考に作成いたしました。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
【参考リンク先】
危ない偽造バイアグラ>ファイザー製薬
レビトラの適正使用について>EDネットクリニック>バイエル薬品(株)
シアリス発売のお知らせ>日本イーライリリー
バイアグラの作用機序について>日本薬学会