花粉症/花粉症治療・病院・薬

花粉症の薬で「喉が渇く」「唇が荒れる」のは副作用?

【薬剤師が解説】花粉症の薬を飲むと「喉が渇いたり、唇が荒れる」と、訴える方がいます。今回は、花粉症薬で喉が渇く仕組みと対策、その他の喉が渇く可能性がある薬をご紹介します。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

薬で喉が渇く副作用はあるの?

薬剤師

何か変だと思いましたら、医師、薬剤師にご相談してください

Q:花粉症の薬を飲み始めてからか、喉が渇くような気がします。鼻がつまって、口で息をするからなのでしょうか。何か対策法はありますか?

A:はい。お答えします。たしかに口呼吸により口腔内が渇くことがありますので、まずはマスクをつけることをおすすめします。

ただ、花粉症の薬の中には、副作用で喉の渇きが出るものがあります。これは個人差があり、渇きを感じる方と感じない方がいます。また、薬を続けているうちに、落ち着いてくる場合もあります。

あまりにも喉の渇きが強くつらいい場合は、医師に相談してください。病状によっては、薬を変更できる場合があります。

また、異常なのどの渇きには、薬の副作用以外の病気の可能性も考えられます。おかしいなと思ったら、すぐに医療機関にかかるようにしてくださいね。

薬の副作用の「喉の渇き」について

花粉症の薬には、アレルギー反応を示すヒスタミンを抑える「抗ヒスタミンの成分(抗ヒスタミン薬)」が入っています。この抗ヒスタミン薬には、色々な種類(成分)がありますが、薬によっては、喉の渇きの副作用が出やすいものや、強く出るものがあります。

少し専門的になりますが、喉の渇きは、「抗コリン作用」を持つ薬(成分)にみられます。アレルギーの薬である「抗ヒスタミン薬」の種類の中には、ヒスタミンの作用を抑制するだけではなく、「抗コリン作用」を示すものがあります。また、この「抗コリン作用」の強さは、薬の種類によって、異なります。

また、「抗コリン作用」は、唾液の分泌を少なくするという作用があります。そのため、喉の渇きを感じるのです。

抗コリン作用とは

ここで、さらに専門的になってしまいますが、「抗コリン作用」について、少しご説明します。コリンは、副交感神経(寝たり、安静にしているときに優位になる自律神経系)が優位になっているときに、出ている生体物質です。このコリンを抑制するはたらきを「抗コリン作用」といいます。

コリンを抑制する、すなわち、副交感神経を抑制するということになりますので、交感神経が優位になります。交感神経と副交感神経の違いは、前者は、興奮しているとき、後者は安静なときに、優位になる自律神経です。それぞれのはたらきは、その時に起こる生体反応を考えていただければ分かりやすいです。

交感神経が優位になると、興奮や緊張しているとき(昔の人の狩に行くときの生体反応を思い浮かべるといいようです)は、血管は収縮し、血圧や心拍数が上がり、散憧、毛が逆立つ、気管支が拡張するなどの生体反応を示します。

一方、副交感神経が優位である安静のとき(狩が終わったときや獲物を食べたときの生体反応を思い浮かべてみてください)、血管は拡張し、血圧や心拍数が下がったり、縮憧、消化管が動き出したり、唾液の分泌が活発になったりという、生体反応を示します。

抗ヒスタミン薬の中には、抗コリン作用を有するものもあり副交感神経を抑制するので、唾液の分泌量が減り、喉の渇きを感じるという生体反応が現れ、副作用(主作用ではない)となるのです。

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