自閉症とは

子ども

自閉症に特徴的な症状は3歳くらいまでに現われ、親御さんが「自閉症かも?」と気づくことが多いようです

自閉症は、先天的要素の強い疾患です。「自閉症」という語感から、何か大きなショックを受けたトラウマなどが原因で、周囲とコミュニケーションを取らなくなる病気のようなイメージを持たれるかもしれませんが、実は後天的な影響はほとんどありません。

今回は自閉症がどのような病気か正しくイメージできるように、その原因と特徴的な症状を詳しく解説します。

自閉症の発病頻度と原因

自閉症の発病頻度は1,000人中、3人程度ですが、自閉症と健常者との境界は明確でなく、どこまでを自閉症と見なすかにより数字は異なります。自閉症の周辺症状まで含めれば発病頻度は1%近くになるとも言われ、その意味で自閉症は決してまれな疾患ではありません。日本自閉症協会によると国内の患者数は約36万で男性に多く、男女比はおよそ4対1になっています。

自閉症は何かをきっかけに自分の殻に閉じこもる病気ではなく、また親の接し方や幼少時の体験といったものにも関係しないものです。自閉症は出生前、胎内での中枢神経系の発育に何らかの問題が生じたことが大きな原因だと考えられています。現段階でははっきりした病気発症のメカニズムはまだ分かっておらず、おおまかに遺伝負因、生物学的要因、免疫学的要因などが複雑に作用した結果ではないかと言われています。

自閉症の症状

自閉症の大きな特徴である「周囲との交流困難」「言語発達の遅れ」「限定的な興味の対象と動作の反復性」は以下のような内容で、これらは通常3歳頃までに現われます。

1. 周囲との交流困難
自閉症の子供は相手の気持ちを理解することがあまり得意ではありません。乳幼児期、親が近づいて来た時、抱き上げられたい素振りを見せない、目で合図を送らない、あるいは笑わないといった兆候がよく見られます。また両親や家族など自分にとって重要な人物がいかに重要であるかがよく分からない一方、人見知りはあまりしないものです。そして学校に上がる年齢になると、相手の気持ちがよく分からないといったこともありスムーズに友だちを作れないことが多いようです。

2. 言語発達の遅れ
言葉を発さない、あるいは言葉を発し始める時期が遅い……など言語発達にかなり遅れが認められます。また言語力の不足をジェスチャーや表情で補うこともあまり得意ではありません。また言葉を発しても意味をなさない、あるいは一般的でない言葉使いをしたり、相手の言葉をオウム返しする……といった事もしばしばあります。

3. 限定的な興味の対象と動作の反復性
興味が特定の対象に限定されやすく、またある特定の動作をいわば儀式的に繰り返す傾向があります。そしてもし自分の行動パターンが変われば強い拒否反応を起こすこともあります。

例えば手の平をヒラヒラし続ける、積み木を一定のパターンに並べ続けるといった反復的動作がよく見られるほか、もし食事の後で入浴するといった普段の順序が逆になればパニックを起こしてしまう……といった事もあります。

自閉症の知的レベルとサヴァン症候群

知的レベルは自閉症の重症度を分類する上で重要な指標です。自閉症の約70~80%は知的レベルが低下していると判断されうる「IQ70以下」です。知的機能は必ずしも全般的に低下しているのではなく、検査の項目項目では高得点をマークすることもあります。

自閉症で特に不得手になりやすいのは言語理解に関するものですが、積み木やパズルといった視覚的空間認知に関しては比較的得意です。また一般の人にはない特殊な能力、例えば記憶や計算といった分野でいわば天才である事があり、自閉症の一形態として「サヴァン症候群」と呼ばれています。

高機能自閉症の症状と特徴

「高機能自閉症」は知的機能に低下がないと判断されうるIQ70以上の場合を指し、全体の約20~30%を占めています。しかし知的機能が高くなればなるほど症状が目立たないとは限らず、例えばある特定の分野以外にはほとんど興味を示さないといった事もあります。また子供の知的機能が正常であるがゆえ、親御さんは自閉症の症状を間違った躾のせいなどと誤解して、自閉症に気づくのが遅れることもあります。

しかし通常生後18ヶ月~2歳までに周りの大人は何らかの問題が子供にあると気付くものです。もしそれくらいの年齢で上記のような症状に気付きましたら、自閉症の可能性もある事はご留意したい事です。自閉症も他の病気と同じく、治療を早く開始すればするほど良好な予後につながります。その際はかかりつけの小児科医など専門家に早めにご相談してみてください。
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