発達障害や自閉症の子どもの「感覚過敏」が集団行動トラブル一因に?

子どものトラブルは発達障害が原因かも

子どものトラブルは発達障害が原因かも

発達障害や自閉症スペクトラムと言われている人が集団行動でトラブルを起こしたり苦手と感じる大きな要因に、「感覚過敏」の問題があります。感覚が研ぎ澄まされすぎていて、生活に支障をきたしてしまうのです。

感覚過敏は中でもまだ全身の感覚が育っていない未就学の子どもたちに多いといわれ、保育園や幼稚園などの集団でトラブルを引き起こす原因になっています。

感覚の問題は、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部による「自閉症スペクトラム障害 (ASD;Autism Spectrum Disorder) の早期発見のポイント」の中にも「しばしばみられる症状:感覚過敏や鈍麻、多動、不器用」と指摘されています。

小児科医からの具体的な質問例(5)の中にも「~自閉症に特異的な行動~
◆「ある種の音に、過敏に反応して不機嫌になりますか?(耳をふさぐなど)」 ・掃除機などの家電製品や乗り物、その他特定の音(人の咳など)に対して普通でないほど取り乱すかどうか」 と感覚過敏の項目があります。
 

視覚や触角など感覚過敏の症状は千差万別

トラブルの理由となる感覚の問題

さまざまなトラブルにはすべてに理由があります。その理由のひとつが感覚過敏です。

感覚過敏の症状は、味覚(口中感覚)、嗅覚、触覚の過敏さなど様々な問題が誘発され、例を挙げると枚挙にいとまがありません。

■聴覚の過敏
  • キーの高い音、蛍光灯や冷蔵庫などの微細な振動音、トイレの水を流す音、赤ちゃんの泣き声に過敏に反応する
  • 保育園近くの道で工事をしていると、保育園での活動が何もできない
■触角の過敏
  • 砂遊びで水を混ぜたドロドロの砂が触れない、水が一滴でも洋服に付いたら着替えないといられない
  • 金属の感触が嫌で、スプーンやフォークが口に入れられない、トイレのレバーが押せなくて水が流せない
  • 小学校の入学式などで普段の洋服と手触りも締め付け具合の感覚も違うスーツやワンピース、ネクタイやタイツが着られない
  • 低気圧や湿度の高さが苦手。湿度が高いことと、気圧の低いことは、体に響くようで、体調が悪くなります。これは、子どもの時だけでなく、大人になってからも変わらず続くようで、大人の発達障がいの人の体調不良の原因にもなっています
■味覚
  • 特定の食べ物(特に野菜が多い)の口に入れた感覚が苦手で、吐いてしまう。食べられない。
  • 苦みや酸味など、味付けが苦手で食べられない
  • ヨーグルトや牛乳など味の違いを敏感に感じ取り、同じ商品しか食べたり飲んだりできない。ふりかけなども、同じ商品か、同じ素材を使った手づくりのものしか食べられない
■視覚
  • 蛍光灯の瞬きなど、一般では気にならない光の点滅が気になったり、日光の光が目に入るととてもまぶしく感じられて見が開けられない
  • 色に敏感で、スーパーの食料品売り場などで色や模様の洪水が飛び込んでくるように感じ、めまいがしたり気持ち悪くなってしまう
ある友人は小学校の入学式を思い出して、「着慣れないワンピースやタイツがチクチクしてイヤで仕方なかった。でも、そんなことはなかなか言えなくて我慢していたから入学式の写真はすべて仏頂面だった」と言っていました。せっかくのお祝いムードも台無しと感じるのは大人ですが、小さなお子さんにはその原因をきちんと説明することはできません。

また自閉症スペクトラムのあるお子さんは、毎日、自分でお風呂掃除をし、一番風呂に入っているそうです。その理由は、人の入った後の湿気で充満した風呂場が苦手だからだそう。

このように感覚過敏の症状は千差万別です。他の子と同じように集団行動がとれないことが早期発見のカギになるので気になる行動があれば、保育園や幼稚園の先生、かかりつけ医や地域の保健師、発達支援センターなどへ相談しにいきましょう。

 

感覚過敏の人が病院で治療を受ける難点

特に、感覚過敏が強いお子さんは、歯医者や耳鼻咽喉科、眼科などにかかることが苦手な場合があります。感覚が研ぎ澄まされている、首元や耳、口中などを触られることが苦手なことから、病院での治療ができないお子さんがいます。

特に歯医者は大人でも怖いもの。何をされるかわからないなどの不安も、恐怖に拍車をかけます。歯科医師の世界では、障害歯科という分野もあるくらい、障害者の治療に工夫をしています。ですから、お子さんが歯医者にかかるのが大変な場合は、地域の障害歯科のある病院を探すとよいでしょう。

耳鼻科や眼科、一般の小児科などでは、まだまだです。障害児への配慮がされていない病院の方が多いのが現状です。障害児の中でも、発達障害と言われている、感覚に過敏さがあり、先のわからない不安さからパニックを起こしてしまう特性のあるお子さんは、一般の医師には困った患者となります。

しかし、病院は行かないで済ますことができないところです。どうすれば子どもの不安を取り除き、治療での行為に慣れてもらうかを考えましょう。障害児をたくさん診ている世田谷の耳鼻咽喉科の医師は、最初は病院の待合室に入ることから始めるといいます。切羽詰まった状態になる前に、病院の診察室や治療器具に慣れ、少しずつ治療ができるように配慮しています。

子どもの特性を理解し、柔軟に対応してくれそうなかかりつけ医を、小さいうちから見つけておきましょう。

お子さんの健康について不安がある人は、「障がい児・者医療を考える会がじゅまる」のHPが役に立ちます。

 

発達障害の症状はさまざま

感覚過敏もそのうちの一つですが、発達障害にはさまざまな症状があります。
・広汎性発達障害
・注意欠陥・多動障害(ADHD)
・学習障害
・協調障害
・精神遅滞
などの症状が発達障害としてまとめられているのです。子育てをしていく上で、わが子の発達に関しては気がかりや不安がつきものです。ましてこれだけ発達障害といわれる症状が多いわけですから、うちの子は発達障害なのでは、と心配になることでしょう。ですが、子どもの成長はそれぞれです。周囲の環境にも大きく左右されます。できないことを強制させるのでなく、子どもが何に困っていて、何ができないのか、をしっかりと見て接するようにしましょう。

 

感覚過敏の特性を理解して過ごしやすくなる工夫を

保育士や幼稚園の先生にとっては、感覚過敏が原因で集団生活ができないお子さんは困った子どもです。子ども自身その理由が言えないので、そのお子さんは「きちんとしつけがされていない子、わがままな子」と思われてしまいがちです。

自閉症スペクトラムの人の感覚の問題は、その人によって大きく違います。なので、お子さんの特性をよく見極め、どの感覚のどんな点が障害になっているかを確認しましょう。そして、園生活に入る前に、苦手な部分を園の先生に伝えておきましょう。

先ほど出ていた金属が触れないお子さんの場合、トイレのレバーに手を添えて一緒に押してあげたり、フォークなど苦手なら、食べることが大切な時期は手で食べるのを一定期間許したりします。少しずつ慣れさせたり、楽しくなるよう工夫したりしながら、子どもの様子や反応を見て、少しずつ積み重ね、無理なく適応できるように心がけましょう。

甘くて美味しいケーキも 苦く感じてるかもしれないし、砂を噛んでるみたいにザラザラした感触に感じてるかもしれません。大人が普通だと感じてる事が障害のある子どもには普通じゃないこともあると、常に頭に置きましょう。自分の感覚で、判断しないこと、押し付けないこと、その子どもに寄り添ってあげることがとても大切になります。


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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。