犬や動物に咬まれたときの応急措置
狂犬病リスクが高い地域に行く場合、事前のワクチン接種を。万一の場合は早急な応急措置と受診が最重要
狂犬病発症までの潜伏期間
狂犬病はひとたび発症すると致死率がほぼ100%なので、潜伏期間中に迅速に対応することが大切。ウイルスは血液経由ではなく、咬まれた箇所の末梢神経から中枢神経に向かってじわじわ広がり、脳に達してウイルスがある程度増殖した時点で発症します。そのため咬まれてすぐに狂犬病を発症することはなく、数週間~数ヶ月、長い場合には数年の潜伏期間があることになります。咬まれた部位によって脳への到達期間が変わるので、手や足以上に、顔などの頭に近い場所を咬まれた場合が発症までの期間が短く危険とされています。
狂犬病の治療法
狂犬病は発症したら有効で確実な治療法はありません。治療法ではなく、「咬まれたときから発症するまで」の期間に発症しないように処置することが、唯一残された対処法となります。狂犬病がない日本では入手できませんが、「抗狂犬病ガンマブロブリン製剤」という薬も感染後の発症予防に有効とされており、海外の病院では扱われていることがあります。この製剤は発症後できるだけ早く投与すべきとされています。その他、動物に咬まれた後のワクチン接種(暴露後ワクチン)の発症予防に有効とされています。ワクチン接種は、咬まれたその日のうちに初回のワクチン接種を受けるのが原則。日本に帰国してからではなく、滞在先の医療施設ですぐにワクチン接種を受けることが薦められています。
ワクチンは一度では十分な効果がないので、初回ワクチンに続いて複数回接種することが必要。日本国内では、ヒトに対しては副反応が弱いワクチンを接種していますが、一言で狂犬病ワクチンと言ってもその種類はさまざま。ワクチン接種を複数回行うときの原則は、同じワクチンを複数回接種することです。狂犬病ワクチンは海外から輸入していないので、外国で接種を受けた後に帰国した場合は日本で使用されている別のワクチンを接種する事になります。もし止むを得ない場合は、異なった狂犬病ワクチンの複数回接種でも有効とされています。