気分変調症では冴えない気持ちが続いている事が普段の自分の状態になってしまっています |
冴えない気持ちが続いている内に、家族との仲が悪化してしまう、うまく仕事がこなせなくなってしまうなど、日常生活で大きな問題が生じている場合は心の病気の可能性があります。今回は、冴えない気持ちが慢性的に続いてしまう気分変調症についてお話したいと思います。
気分変調症の特徴
気分変調症では慢性的な冴えない気持ちと共に以下のような症状が見られます。- 食欲の変化(食欲不振または過食)
- 睡眠の変化(不眠または過眠)
- 疲れやすい
- 自分に自信が持てない
- 集中力の低下
- 決断を下すのが困難
- 絶望感を覚える
気分変調症のこうした症状はうつ病に類似していますが、症状自体はうつ病ほど深刻なものではありません。これらの症状が慢性的に(少なくとも2年以上、若年者では1年以上)続いていて、言わば、本人の気質のようになっている事が気分変調症の特徴です。 次に、気分変調症の経過と問題点を述べます。
気分変調症の経過と問題点
気分変調症では冴えない気持ちでいるのが普段の状態になっているので、本人は心の病的状態に気付き難いです。気分変調症が始まるのは10代、20代の若い年齢が多いのですが、家庭や仕事で問題が顕在化して、精神科や神経科を受診するまでに10年以上経過してしまう事がしばしばあります。気分変調症の経過中にうつ病、躁うつ病など他の心の病気が発症する事は少なくありません。また、冴えない気持ちを晴らす手段を求める事がアルコールなどの薬物依存につながる事があります。
気分変調症の特徴である慢性的な冴えない気持ちは病的であるとは言え、本人の気質に近い面があるので、気分変調症の抑うつ症状はうつ病より軽度であるにも関わらず、治療はうつ病と比較してより難しくなってしまう傾向があります。気分変調症の治療はうつ病と同様に抗うつ薬などによる薬物療法と心理療法が行われます。
気分変調症は決して稀な病気ではなく、人口の3~5%に見られます。もしも、いつも気持ちが冴えず、物事に集中するのに困難を感じている時は日常生活で現れている支障の程度によっては気分変調症が当てはまる場合がありますのでご用心下さい。