うつ病/冬季うつ病・五月病・気分変調症・その他のうつ状態

五月病の症状・診断基準・セルフチェック法

新しい環境に適応しようと気を張っていた4月が終わると、疲労感や憂鬱な気持ちを感じる人が増えてきます。いわゆる「五月病」ですが、精神科で診断する「軽度のうつ病」「適応障害」などに近い症状が見られます。まずは自分の心の状態をチェックしてみるのがよいでしょう。五月病の主な症状、診断基準を詳しく解説します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

「五月病」とは? 正式な病名・診断名は?

頭を抱えるサラリーマン

やる気に満ちていた4月から一転……。五月病は心の息切れのような病気です

満開の桜を見て、気持ちも新たになる4月。街には新大学生や就職したての新入社員の姿も見られ、高揚感を感じる人が増える時期です。しかし、高揚感が収まってゴールデンウィークを過ぎる頃になると、「気持ちが冴えない」「ぐったりと疲れを感じる」といった、心の息切れともいえる症状を感じる人が増えてきます。

これがいわゆる「五月病」。五月病は正式な病名ではないので、実際に精神科などの医療現場で「五月病」という診断をすることはありません。精神科で診断名をつけるならば、「軽度のうつ病」「適応障害」とされる症状が特徴的です。

五月病の主な症状・セルフチェック法

いわゆる「五月病」では、以下の症状が生じます。病名ではなく明確な判断基準はありませんが、それまで元気だったのに特に理由もなく以下の症状がいくつか当てはまるようになったら、いわゆる五月病の状態でしょう。

10項目のうち、当てはまるものがあるかいくつあるかチェックしてみましょう。

  • 気持ちが冴えない
  • やる気が起きない
  • 体がだるい
  • 寝つきが悪くなった
  • 思考力、集中力の低下
  • 自信がなくなる
  • ネガティブな考えが浮かびやすい
  • 頭痛、腹痛などの身体症状
  • 食欲低下
  • 飲酒時の悪酔いなど、問題行動の出現

こうした症状は程度の差を除けば、心身が疲れた時には誰にでも出現します。五月病もほとんどの場合は一時的なスランプ状態で、なるべく休養を取るようにすれば自然と元に戻ります。しかし、時には五月病らしき症状が悪化してしまい、本格的な「適応障害」や「うつ病」を発症してしまうこともあります。

五月病症状が数週間続く場合は精神科の受診を

症状の深刻さと持続期間によりますが、もしも上記のような症状が数週間持続していて、学校や仕事に行けないほど気持ちが落ち込んでしまった場合は要注意。深刻な心の病気になっている可能性もあります。特に、死にたい気持ちが生じる場合は、重症のうつ病が疑われます。すぐに精神科や神経科を受診するようにしてください。
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