一見うつ病には見えない「非定型うつ病(新型うつ)」とは
うつ病で出現する症状は一様ではありません。症状が典型的でない分、気分の落ち込みに気付きにくいのが問題です |
最近一般に「新型うつ病」とも呼ばれているものですが、典型的な症状でないうつ病で、医学的には「非定型うつ病」と言います。非定型うつ病は、うつ病であることに気付きにくいため、精神科(神経科)の受診が遅くなり、回復までに時間がかかってしまう傾向があります。今回は非定型うつ病とはどのようなものかお話したいと思います。
典型的なうつ病(メランコリー型うつ病)の症状
典型的うつ病はメランコリー型と呼ばれています。このメランコリーという語の由来は古代ギリシャ時代までさかのぼります。当時のギリシャでは、すべての病気は体液のバランスの乱れに原因があるという体液説が信じられていて、うつ病の原因は黒い胆汁の為とされていました。メランコリー(melancholie)の語源は、この黒い(melan)胆汁(cholie)です。メランコリー型のうつ病は以下のような症状が特徴的です。
- うれしいことがあっても気分が晴れない
- 食欲不振・体重減少
- 早朝に目が覚める
- 気分の落ち込みは朝が一番悪く、夕方になると少し楽になる
- 自責の念が強い
非定型うつ病の特徴
メランコリー型に比べ、非定型うつ病の場合は以下のような症状が特徴的です。- 感情が反応的(うれしいことがあると気分がよくなる)
- 過食・体重増加
- 過眠(10時間以上または通常より2時間以上の睡眠)
- 疲労感(しばしば身体が鉛のように重いと形容される)
- 他人の批判に過敏で、気分の落ち込みの引き金となりやすい
- 他人の批判を過剰に受け止めてしまい、親密な人間関係を築くのが困難である
- 他人の批判を恐れるあまりに、人間関係に気を使いすぎてしまう
- 朝、起きれなくて、約束の時間に遅刻してしまう
- 映画などの娯楽を楽しめることは楽しめるのだが、外出するエネルギーがない