今年(2009年)、シェリング・プラウ社(元・日本オルガノン社)から不妊治療新薬「ガニレスト」が発売されました。以前紹介した「フォリスチム」にも新しい投与方法である自己注射が認められ、クリニックに通いにくい方も排卵誘発の治療を受けられるようになりました。

上記の2つの薬剤についての取材をお伝えします。

ガニレストの特徴

Q:ガニレストはGnRHアンタゴニスト製剤(註)では日本で2剤目の新薬ですが、一剤目のセトロタイドとはどのような違いがありますか?

A:臨床試験時には直接的な比較試験を行っていないためデータが無いのですが、様々な文献を基にほぼ同等の効果があると評価されています。
ガニレスト製剤写真です

ガニレスト製剤写真です


 


 


ガニレストの特長は「プレフィルドシリンジ」という製剤になっており、ドクターやナースの方々がすぐに使用できるように工夫されている部分です。今までの製剤は生理食塩水を入れて、溶解した上で注射していましたが、この製剤の場合はすでに液体になっており、すぐに注射できるのです。

関連リンク(註)
GnRHアゴニストとGnRHアンタゴニストについて(ASKAレディースクリニックサイトから)
aska-cl.com/art/art-gnrh.html

シェリングプラウ社
www.schering-plough.co.jp/

ガニレストの使用頻度と費用

A:1周期で4回投与するのがスタンダードです。費用はクリニックの状況によって幅があるので一概には言えません。かかりつけのクリニックにご確認下さい。

ガニレストの分の費用が余計にかかるため、嫌がるドクターや患者さんがおられるのでは?という質問もありますが、ご存じの通り、GnRHアンタゴニストを活用することのメリットは早期排卵の予防だけではありません。FSH(排卵誘発剤)の使用量を減らすことになり、ひいては副作用の低減につながるので、世界の不妊治療のシーンにおいて徐々に評価が高まってきており、使う頻度が増えてきております。日本の先生方へこれから徐々に海外の状況をお伝えできればと思っております。

認可されるスピードが速かった理由

A:今回のこの製剤については海外の臨床試験データを日本でも活用できるブリッジング試験を実施して認可されました。よって、今までであれば日本で一から臨床試験をしなければならないものも海外のデータを活用できたことで早く申請をすることができ、認可も早く頂けたのだと思います。

Q:ガニレストについて伝えたい事がございましたら、よろしくお願い致します。

A:発売されたばかりですが、これからは出来るだけ今使われている海外(欧米)のプロトコールの紹介や副作用の状況など、的確な情報提供に心がけ、MRを通じて説明会の実施を強化してまいります。

現在は各先生方の使い方も様々なので、成績も施設によってばらつきがあるようです。よりよい治療成績を得られるよう、我々でも情報の共有化を進めていきたいと思っております。

フォリスチムの自己注射

Q:フォリスチムの自己注射が認可になりました。待ち望まれている保険適用でしたが、反応はいかがですか?

A:お陰様で多くの患者様に喜ばれています。特にクリニックが遠くて通えない方や仕事が忙しくて通院できない方にとっては、あきらめていた不妊治療が出来るようになるので、大きなメリットではないかと考えております。

自己注射を行ったことのない患者さんに対するフォローですが、

簡単に自己注射を行なえるよう、昨年の10月にフォリスチムペンという製品を作成しました。医療機関での説明を受けて、正しく理解していただければ、簡単かつ安全に使うことができると思います。きちんと指導を受けていただければ怖いものではないことをご理解頂けるはずです。

当社でもビデオやカスタマーセンターを作って情報提供に努めております。また、弊社WEBサイト上にも動画サイトを作って誰でもすぐに見ることが出来るように準備しています。

また、海外では、このペン型注射器を使用した自己注射は痛くないという評価を頂いております。皮下注射であることと針が細いことが寄与しているようです。

採用しているクリニックがまだ少ない理由

一番は薬価の問題だと思います。やはり新薬ですので薬価が高いということで、HMGを使われている施設では躊躇されているところもあります。

上手なブランド薬剤の利用で妊娠を目指す

私は以前、製薬企業に勤務していたのでよくわかりますが、今、不妊治療薬の分野で活発に新薬開発しているのはほんの数社にすぎません。その中でもシェリング・プラウ社は1、2を争うトップブランドです。

製薬企業の世界において不妊治療薬の市場は本当に小さな規模なので積極的に取り組もうという企業が少ないのです。

そういう意味でも頑張ってほしいし、新薬開発のためにも多くの患者さんに利用して頂きたいと思うのです。ブランド品が高いのは薬だけではありません。

ブランド薬剤は自分の身体と懐具合に合わせてうまく活用し、早く妊娠して頂く。これが大事だと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項