子宮脱の診断法

ペッサリーは物理的に支えを作って子宮を本来の位置に補正します

ペッサリーは物理的に支えを作って子宮を本来の位置に補正します

子宮脱の診断は目で見ればすぐにわかります。内診台に上がっていただいたらすでに子宮が外に飛び出ている場合、すぐに「子宮脱」と診断できます。横になった状態だと子宮が奥に引っ込んでしまう方の場合は、内診台でぐっとお腹に力を入れてみてもらうと、子宮が下がってくる様子が確認できます。いずれにしても、特殊な検査は必要なく、見るだけで診断できます。

子宮脱の予防法・治療法

子宮下垂があっても、腟から外に飛び出ていなくて、特に症状もなければ治療を行う必要はありません。ただ、放置すると下垂がひどくなっていくことはあるので、肥満や便秘の改善・重い物を持たないといった生活改善・骨盤底筋を鍛える体操などで、それ以上悪化しないように心がけましょう。

逆に、子宮が完全に腟の外に飛び出てしまっていたり、尿もれや排尿困難などの症状があれば、治療が必要。骨盤底筋訓練法は骨盤底筋を鍛える筋トレで、軽度の尿漏れや子宮下垂の改善には効果がありますが、脱出してしまった子宮や膀胱を元に戻すほどの効果は期待できません。基本的にはペッサリーの装着か手術のどちらかを選ぶことになります。最終的に手術を行うかどうかは、子宮脱の程度や症状、年齢、持病の有無など全身状態、患者さん自身の希望によって、治療法を選択することになります。

ペッサリーによる子宮脱の治療法

ペッサリーの装着は、腟の中にリング状やドーナツ型、円錐型などのペッサリーを挿入し、下から子宮を支えて位置を元に戻す方法。腟の広さや緩み具合に合わせてペッサリーの大きさを調整します。適切な大きさのものを装着すれば、異物感もなく、性交渉にも問題はありません。ただ、長期間入れっぱなしにしているとおりものが増えたり炎症を起こすことがあるので、定期的に病院で腟内の消毒やペッサリーの入れ替えを行う必要があります。

女性ホルモンが足りなくなると腟がただれやすくなり、ペッサリーが当たっているところから出血したりすることがあるので、予防的に女性ホルモンの腟剤を腟内に入れるようにします。

手術による子宮脱の治療法

手術の場合、お腹をあけて行う手術ではなく腟の方からアプローチする腟式手術になります。基本的に、性器脱では骨盤内の臓器がそれぞれ下垂気味になるので、これらを支える筋肉やじん帯を腟の方から修復します。実際には、下垂した子宮を丸ごと摘出する子宮全摘術や膀胱瘤などで伸びてしまった腟の壁を修復する手術などを状態に応じて組み合わせて行うことになります。子宮全摘手術のかわりに、子宮の入口部分(頸部)を切断して子宮を短くし、じん帯で固定する方法もあります。高齢の方で性交渉がない場合、より体への負担が軽い方法として腟を閉鎖する手術が行われることもあります。

手術によって飛び出ていた子宮を切り取るので、下垂感は気にならなくなります。また、尿漏れや排尿のしづらさも改善することが期待できます。ただ、まれに術後の方が、手術前にはなかった尿漏れが出現することもあります。これは、もともと膀胱瘤がひどくて尿が出にくくなっていた人が、修復手術によって改善された結果、隠れていた腹圧性尿失禁が表に出てきたり、尿の通り道がまっすぐになってしまったために尿が出るのを防ぐ機能が低下してしまうためと考えられます。万が一術後に尿漏れがひどくなった場合は、泌尿器科で行っている尿失禁を治療する手術を追加することもあります。
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