子宮内膜症と診断されたら治療は必須

低用量ピルは内膜症の治療や予防に効果的です

低用量ピルは内膜症の治療や予防に効果的です

内膜症の治療法は、大きく分けて手術療法と薬物療法の2つ。以下で詳しく説明しますが、薬物治療には、筋腫の時と同じ「偽閉経療法(ぎへいけいりょうほう)」や低用量ピルの他に、黄体ホルモン療法と呼ばれるものがあります。

内膜症の場合、何もせずに放置するのはお薦めできません。月経がある間は基本的に進行してしまう病気なので、例え症状が強くなくても、内膜症と診断された時点で、何らかの治療を始めるようにしましょう。

治療期間が限られる「偽閉経療法」

偽閉経療法は女性ホルモンの働きを抑え、閉経と同じ状態を作る治療法。月経が止まれば月経痛も過多月経もなくなり、出血がなくなるので卵巣のう腫や子宮腺筋症を小さくする効果も期待できます。ただし、副作用としてのぼせやほてりなどの更年期症状が出たり、骨密度が下がってしまったりといった影響があるため、連続6ヶ月間しか使うことができません。手術前にある程度病変を小さくしたり、閉経まで逃げ込む目的で使われる治療法で、継続的に行い続けるものではありません。

偽閉経療法を始めると、だいたい2ヶ月目くらいから副作用が出始めることが多いようです。20代の患者さんにも「なんだか汗が吹き出るのですが、更年期ですか?」と言う方もいます。薬をやめればこれらの症状もなくなります。


子宮内膜症治療にも有効な「低用量ピル」

低用量ピルは飲み続けることで月経の出血量が減り、月経痛も軽くなるので、内膜症による月経痛や過多月経の改善のためによく使います。月経量が極端に減っていくので、月経量に比例して進む内膜症の進行を予防する働きもあります。ただし、偽閉経療法や次に説明する黄体ホルモン療法のように、チョコレートのう腫や子宮腺筋症のサイズを小さくする作用はあまり強くありません。

副作用は人によって出方が異なりますが、あっても飲み始めの1~2ヶ月吐き気が出たり、不正出血が見られる程度。重い副作用はほとんどありません。非常にまれに、血栓症という重篤な副作用が現れることがありますが、頻度としては飛行機に乗ってエコノミークラス症候群になるのと同じくらいの割合です。めったに起こるものではないと言っていいでしょう。

ピルは偽閉経療法と異なって、何ヶ月でも飲み続けることができます。10代や20代で内膜症が見つかった場合は、妊娠を希望するまでピルを飲み続け、そろそろ妊娠と思った時点でピルをやめて効率的に妊娠を目指すのが上手な使い方。内膜症の予防という意味でも低用量ピルは有効なので、確実な避妊が必要で月経が重いという人は、予防も兼ねてピルを飲んでおくことをお勧めします。


両方のメリットを併せ持つ「黄体ホルモン療法」

黄体ホルモン療法は、ピルに含まれる2種類の女性ホルモンのうち「黄体ホルモン」という1種類のホルモンだけを飲み続ける治療法。偽閉経療法と同じく、卵巣から出る女性ホルモンを抑える効果があります。異なるのは、偽閉経療法のように女性ホルモンを完全に抑えきってしまうわけではなく、「低空飛行」の状態を保つ点。副作用としての更年期症状や骨密度の低下がほとんどないというメリットがあります。飲み続けるうちに、ほとんど月経が来なくなるので、内膜症の病変は小さくなっていきます。ピルと偽閉経療法の中間くらいの強さだと考えると分かりやすいと思います。

主な副作用は不正出血で、飲み初めから3~6ヶ月間はダラダラと少量の出血が続いてしまうことがあります。はじめて黄体ホルモン療法を試した方のほとんどは「生理がちゃんと終わらない」とおっしゃいます。月経の終わりがけのような少量の出血が不規則に続いてしまうためです。この不正出血が不快で黄体ホルモン療法が使いにくいという方は、最初の1~2ヶ月間だけ偽閉経療法を行って、そのあと黄体ホルモン療法に移行させていくといいでしょう。偽閉経療法を経験してから黄体ホルモン療法に切り替えた方は「こっちの方がラクです」と言うことが多いです。黄体ホルモン療法も、特に制限なく何年でも続けることが可能です。

最近保険適応になったのが、この「黄体ホルモン」が子宮内避妊具の柄の部分に入っている「ミレーナ」です。もともとは「ホルモン付加子宮内避妊具」として発売されましたが、黄体ホルモンが子宮のお部屋の中だけにしみだすので、月経量が減ったり月経痛が軽くなる効果が期待できます。2014年9月に「過多月経」の治療として保険適応になったため、内膜症による過多月経がある方にも保険で挿入することができるようになりました。

「ミレーナ」は子宮内に器具を入れる必要がありますので、経膣分娩の経験がない方や、腺筋症や筋腫によって子宮のお部屋の中に変形が強く起きている場合は使えないこともあります。

どの治療法がベストなのかは、病状や妊娠の希望の有無によって異なってくるので、副作用の出方なども見ながら主治医とよく相談して選択していきましょう。
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