心臓突然死とは
突然死のワースト1は心臓死
突然死の6割以上の多くを占めるのは心臓が原因となる「心臓突然死」。総務省消防庁が発表した調査結果によれば、平成19年に救急車で運ばれた心肺停止状態の患者は10万9461人。このうち、5万9001人は心臓が原因でした。現在問題となっている自殺者の数が年間3万人という点と比較しても、決して少なくない数だと分かると思います。
この心臓突然死の原因の大半が、虚血性心疾患です。狭心症や心筋梗塞などの、心臓に血液を送る冠動脈が詰まる疾患です。(All About狭心症・心筋梗塞を参照。)
プロ野球の巨人と阪神でかつて投手として活躍した小林繁さんが2010年1月に突然死されましたが、小林さんの死因も心筋梗塞でした。心臓突然死の主な原因として、以下の4つが挙げられます。
心臓突然死の原因1.虚血性心疾患などの病気
心筋梗塞などの虚血性心疾患が心臓突然死の原因の中心です。ご注意を
心筋梗塞の発作は朝方にピークがあることが知られています。なお症状は胸以外に頚や腕に出たり、ときには上腹部にでることさえあります。
仕事中や歩行中、安静時、トイレ、就眠中などに突然倒れて失神し、意識がなくなることもあり危険です。
また冠動脈が正常であっても心臓に血液が送られなくなる状態、たとえば悪性の不整脈や高血圧による心肥大、弁膜症なども狭心症・心筋梗塞と同じ状態になることがあり、心臓突然死の原因になります。
弁膜症の中では大動脈弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症が代表的です。
心臓突然死の原因2.不整脈
突然死を起こす危険な不整脈がいくつかあります
■ QT延長症候群
心電図でQT間が長くなる病気で、致命的な不整脈である心室細動が起こることがあります。
■ 運動によって起こる心室頻拍
心臓の信号を伝える神経である刺激伝導系のなかでヒス束の線維に異常が生じ、心筋の興奮が連続して起こり心室頻拍にいたります
■ WPW症候群
刺激伝導系の正常経路以外に、病的な経路・副伝導路があり頻拍発作が起こります。
■ 完全房室ブロック
刺激伝導系のどこかの部位に障害が起こることをブロックと呼び、心房と心室の間の伝導が遮断されることを完全房室ブロックと言います。心停止を起こすことがあります。
■ 洞不全症候群
心臓の自然のペースメーカーとも言える洞結節に異常が起こり、重い徐脈や失神に至ります。
心臓突然死全体の8~9割で心室細動が関与しています。心室細動の原因として心筋梗塞が最も多く、そのほかに心筋症や冠動脈疾患、ブルガダ症候群などが挙げられます。
心臓突然死の原因3.スポーツ
スポーツで突然死することがありますが、隠れた心臓病が原因です。それを見つけて対策を立てることが大切です
スポーツ中に起こる心臓突然死の原因は年齢によって異なります。
たとえば中高年では
- 冠動脈疾患: 全体の8割を占めると言われます
- 心筋症
- 心室瘤破裂
- 弁膜症(大動脈弁狭窄症や閉鎖不全症その他)
若年者では
- 肥大型心筋症
- 冠動脈奇形
- 弁膜症
- 冠動脈疾患
- 心筋炎
- 肥大型心筋症
- 先天性心疾患
- 弁膜症
- 川崎病による冠動脈瘤
スポーツ心臓という言葉があります。激しい運動に順応するために心臓の筋肉が肥大することです。これは前述の高血圧や心筋症による肥大とは異なり、自然な現象なので、スポーツ心臓そのものが突然死の原因になることはなさそうです。
スポーツで心臓突然死が起こる場合は、もともと心臓病がありそれに気がついていなかっただけで、スポーツが間接的に引き金になったと考えられています。
心臓突然死の原因4.心不全
心不全が心臓突然死の原因となることがありますが、それは心筋梗塞や不整脈がらみであることが多いです。詳しくは「心筋梗塞」「不整脈」の項目をご覧ください。(参考) 心臓以外の突然死を招く病気一覧
心臓突然死以外にも突然死を引き起こす疾患があります。参考のために、主な突然死を招く病気一覧原因を挙げます。心臓以外の臓器が原因で起こる突然死も一通りは知っておいて下さい
2. 脳内出血
3. 急性大動脈解離
4. 肺動脈血栓塞栓症
5. 気管支ぜんそく
6. 消化器疾患(肝硬変その他)
など。
最近ではプロ野球の読売巨人の木村拓也選手が試合中にくも膜下出血で倒れ、緊急入院したものの、そのまま帰らぬ人となったというケースが記憶に新しいところです。またアジアで幅広い人気のあった台湾の歌手・テレサテンさんは気管支喘息が原因で突然死されたといわれています。先日、作家の立松和平さんが急性大動脈解離でお亡くなりになりました。病院での治療がある程度間に合って突然死は免れましたが、結局突然死に準じた状況でした。
参考サイト:心臓外科手術情報WEB