歯肉炎の原因
成人に多い歯周病に比べ、ブラッシング不足の小学生にもよく見られる歯肉炎
歯肉の表面に付着した細菌は、歯肉の内部に侵入しようとしますが、これを防御する際に炎症が起こります。この炎症が歯肉のみにとどまっている状態が「歯肉炎」です。
さらに炎症が広がって骨の一部が溶け始めた段階で、初めて「歯周病」と呼ばれるものになります。
歯肉炎の症状
歯肉炎では、次のような状態や症状がよく見られます。歯肉炎とは、歯茎が炎症を起こす病気。炎症が起きると、赤く腫れて出血しやすくなったり、歯磨きの時に痛みを感じたり、膿や口臭が見られるなどの症状が現れます。■ 歯の表面のプラーク(歯垢)
歯肉炎になると、歯と歯茎の境目付近に必ず白い歯垢がたくさん付いた状態が確認できます。歯の表面に歯垢が堆積している場合、ほとんどの歯肉が炎症を起こしています。
■ 歯肉の縁がはっきりしない
健康な歯と歯肉は指の爪のように、皮膚と爪の境目がはっきりしています。歯肉炎になるとこの境がはっきりせず、歯肉の縁が薄く伸びたり凸凹になったりします。
■ 歯肉が縁に沿って赤くなる
鏡で歯肉を見たときに、歯の周囲に沿って明らかに赤い帯状のラインが見られることも。
■ 歯肉の縁が腫れる
健康な状態だと、歯と歯の間の歯茎は固く鋭いV字の形。歯肉炎になるとこの部分の歯茎が丸みを持って膨らみ、指で押すと動いたり、ブヨブヨした感じがするようになります。
■ 歯肉から血が出る
通常は歯磨き程度で出血することはほとんどありませんが、歯肉炎になると歯磨きで、すぐに出血します。もし歯磨きで出血した場合には、まず歯肉炎を疑います。
患者さんのお話を聞いていると、歯肉炎による出血を磨き過ぎだと勘違いして歯磨きをいっそう軽めにしてしまう人もいるようです。口内環境がさらに悪くなり、歯肉炎がいっそう悪化してしまうケースも少なくありません。
歯肉炎が歯周病のレベルまで悪化しているかは、外から目で見ただけでは正確な判断ができず、最終的な確認はレントゲンなどで行います。ただし1~25歳程度の若い年齢で歯肉の出血が認められた場合は、歯周病まで進行せずに、歯肉炎の状態でとどまっているのがほとんどです。
歯周病と歯肉炎の違い
歯肉炎は、歯肉(歯茎)のみに炎症を起こした状態。しかし歯肉炎を放置して歯周病に進行すると、歯を支えている骨が溶けたり、歯茎が下がって歯の根が露出などの歯茎の表面から顎の骨などの内部に向かってダメージが広がっていきます。こうなってしまうと、いくら歯周病を治療したとしても、出血などの歯茎の炎症が改善するだけで、基本的には溶けた骨が元に戻ったり、歯茎が盛り上がって歯の根の露出が改善したりはしません。
一方歯肉炎は、炎症があくまで歯茎の表面付近のみに留まった状態なので、内部の骨が溶けたり、歯茎が下がったりしません。歯肉炎の段階なら治療で、比較的簡単に元の状態に戻れるのに対し、歯周病は骨などが溶けて失われてしまうため、治療を行なっても完全に元の状態に戻ることはないのです。