目の病気/白内障・緑内障

緑内障の治療・手術法・手術費用

緑内障の治療法としては、目薬による点眼とレーザー治療、それらが効かない場合に初めて手術があります。それぞれのメリット・デメリットと費用について解説します。

大高 功

執筆者:大高 功

眼科医 / 目の病気ガイド

クリアな視界
適切な治療で、視野欠損の進行をとめましょう
緑内障になってしまった場合、投薬・レーザー治療・手術の3つの治療法があります。

投薬(目薬)による治療法

緑内障と診断された場合、最初は点眼で治療を行います。最初は1種類の目薬から開始し、それでも視野障害が進行する場合は2種類にし、それでも進行するなら3種類にします。4種類以上はあまり効果がないといわれており、通常は3種類をつけても進行する場合にはレーザー治療や手術などを検討します。

ほとんどの患者さんが点眼のみで一生大丈夫ですので、まずは安心してください。

レーザー治療による緑内障治療

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)という治療法です。

レーザーで目の中の水(房水)が出て行くところである「線維柱帯」という部分を処置し、網目構造になっている線維柱帯にからまった色素細胞を除去します。いわば線維柱帯を掃除して、房水の流れ出を良くするという方法です。SLTはある施設がまだ限られています。

SLTは効くというドクターと効かないというドクターがいます。私はSLTを早くから導入して多くの患者さんに施行しておりますが、その経験では、非常によく効く患者さんと、そうでない患者さんがいらっしゃいます。

しかしぶどう膜炎後に緑内障になり、片目失明、片目は眼圧がずっと35ぐらいで視野が中心だけになってしまい、他の病院でだれも手がつけられなかったが、当院に来てSLT1回で10前後になって、その後なんとか失明を逃れている患者さんなんかもいらっしゃいます。ですから、完全に否定するのはもったいないと考えています。

費用は3割負担で3万円前後です。

手術による緑内障治療

緑内障手術は、主に下記の2種類の方法があります。

■ トラベクロトミー
線維柱帯を切開することで房水の出を良くする手術です。

・長所:術後に感染が起こったりしにくいこと
・短所:眼圧が下がっても10台中盤から後半ぐらいで、長期的には効果がなくなってくる場合が多いこと

術後の感染がおこりづらいというのは大きな美点であり、たいへん良い手術です。長期的に効果がなくなっても、また施行するとか、次はトラベクレクトミーにするとかが可能ですので、点眼をやっても眼圧が20台以上の方なら、まずこの手術を選択される先生も多くいらっしゃいます。

手術のみの費用は、3割負担で6万円前後です。入院する場合には入院費用がかかります。

■ トラベクレクトミー
簡単に言うと、目の外から穴をあけて、房水を持続的に外に出すことにより眼圧を下げる手術です。

・長所:うまくいくと眼圧がよく下がること(8から10台前半ぐらい)
・短所:目の外と中が交通しますので、将来感染が起こりやすくなること/手術がうまくいかない場合があること(すぐに穴が目詰まりしたり)/この手術も効果がなくなってくることがあること

点眼で眼圧が高くないのに視野障害が進行する場合には、この手術以外に選択枝がないと考えます。

手術のみの費用は、3割負担で6万円前後です。入院する場合には入院費用がかかります。


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