1年の健康長寿を願う薬酒「お屠蘇」の意味・由来
お屠蘇セット。新年を寿ぐ祝いの膳に、おせち料理やお雑煮、お屠蘇はかかせません
お屠蘇は、中国の唐の時代に日本にも伝えられ、平安時代、嵯峨天皇の弘仁年間に宮中のお正月の儀式として、四方拝の後にお屠蘇を飲むようになったと言われています。時代がくだって一般庶民の間にも広まり、正月三が日や祝い事の日に、疫病邪気を払い、長寿幸福を得る儀式として広まりました。
昔は、各家庭で生薬を調合し赤い三角の袋に入れ、大晦日から井戸に吊しておき、元旦の朝にお酒にしばらく浸して飲んでいたそうですが、明治以後は、薬種屋で売られるようになり、また飲みやすいように、お酒の代わりに甘味のあるみりんも使われるようになったそうです。
「お屠蘇」に使われる生薬の働き・効果
お屠蘇に処方される生薬は、絶対にこのブレンドという決まりはなく、種類に違いはあるようです。だいたい白朮(びゃくじゅつ)、防風(ぼうふう)、桔梗(ききょう)、陳皮(ちんぴ)、桂皮(けいひ)、山椒(さんしょう)、大黄(だいおう)などが使われ、人や地域によってもさまざまの違いがあります。お屠蘇の効果は、当然その調合されている生薬によって異なりますが、おおむね健胃、吐き気止め、利尿、抗菌、咳止め、風邪予防、血液浄化、発汗促進、下痢止めなどと言われています。健胃薬や、初期の風邪にも効くことから風邪予防の薬としても飲まれていたそうです。
寒い時期、また普段より食べ過ぎ、飲み過ぎにもなりやすいお正月に、ごちそうとあわせて飲むのは、単なる儀式だけでなく、健康のためにも理にかなったものだと言えます。
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