寒い浴室やトイレ。思わず鳥肌が立つことはありませんか? |
冬に増える お風呂とトイレの突然死
脳卒中や心臓発作などによる突然死は、冬に急増するといわれています。おもな原因は、浴室の寒さによるもの。少々古いデータですが、1988~1993年の間に起こった入浴中の事故のうち、約47%が冬期3ヶ月間に発生したものだったという報告もあります(東京都監察医務院の調査)。年間の入浴事故は30000件。そのうち14000人が入浴中に死亡しています(東京救急協会の調査)。
それではいったいなぜ、冬、入浴中の事故が増えるのでしょうか。
原因は、「脱衣所や浴室の室温と、お湯の温度との落差」にあります。冷え切った脱衣所で衣服を脱ぎ、震えながら浴室に入る――とくに一戸建てに住んでいる方なら、多かれ少なかれ覚えがあるのではないでしょうか。
寒い脱衣所や浴室では、体温が急激に下がっていきます。このとき、血管は収縮し、血圧は急上昇します。その後、熱いお湯に入ると、血圧はさらに上昇。そして体があたたまり、血管が緩んでくると今度は一挙に血圧が急降下します。こうして急上昇と急降下を繰り返した挙句、硬くなった血管が破れたり、閉塞したりして、脳溢血や心筋梗塞を起こすのです。
冬のトイレもまた、お年寄りにとっては危険地帯。寒い場所で下半身を露出し、力んだりするため、浴室と同じような事故が起こりかねません。
対策1・脱衣所・浴室・トイレに暖房を
「そんなところにまで暖房を入れるなんて!」などといわないでください。肌を露出する場所こそ、室温を高めておく必要があります。パネル式ヒーターや床暖房などを置き、快適な環境を作りましょう。
対策2・お風呂の温度はぬるめに設定し、シャワーで入れる
お湯の温度は40度程度。42度以上だと、いきなりお年寄りが入った場合、思いがけない事故につながりかねません。お湯をはるときは、蛇口から入れるより、シャワーを使うほうがよいでしょう。シャワーのしぶきで浴室全体を暖めることができます。
対策3・家族が先に入って浴室を暖める
元気な家族が先に入り、シャワーを使ったり、かけ湯をしたりすれば、浴室が暖まります。お年よりは一番ぶろではなく、二番、三番風呂に入るようにしましょう。
対策4・コールボタンを備えておきましょう
万が一、体調が急変した場合のコールボタンを、浴室、脱衣所、トイレに備えておくとよいでしょう。とくに湯船の中では、意識を失ってそのまま溺死してしまうケースが少なくありません。心臓発作などの緊急時にそなえ、一刻も早い処置がとれる体制を整えましょう。
お風呂やトイレが寒いと、お年よりも行くのが億劫になり、ついつい敬遠しがちになります。ぜひ快適な環境を整えてあげたいですね。