塩分は生命を維持するために欠かせません。ところが、現代人の食生活は塩分を摂りすぎていると言われています。特に高血圧の人は「健康のために塩分を制限しましょう」、と指導されることが多いのですが、そう簡単には血圧は下がりません。塩分を制限することに意義はないのでしょうか? 今回と次回(8月1日)の2回にわけて、日本人の高血圧と塩、食生活とは切っても切り離せない「塩」に迫ります。


塩分を控えても血圧は下がらない?

塩
早朝に血圧が高いと、脳血管障害を発症する危険性が高まります。起床時・日中・寝る前に計測してみてください
平成18年に行われた厚生労働省の調査によると、高血圧(140 / 90 mmHg以上)ないしその予備軍ともいうべき正常高値血圧者(130~139 / 85~89 mmHg)を合わせると、全国で約5,940万人に上ると目されています。血圧は加齢とともに上昇する傾向がありますから、50代以上の方では定期的に医療機関を受診されている方も多いと思います。そうした場合、医者がいつも口を酸っぱくして言うのは

「塩分をひかえてください」

この一言です。以前にガイドメールマガジンでもご説明しましたので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、実は塩分を控えても血圧が下がるのは日本人の10~20%に過ぎないとも言われています(※)。

それなら何のために塩分を制限するのか、と思われるかもしれません。ですが、仮に塩分制限によって血圧が下がらなかったとしても、得られるメリットは大きいのです。その理由の1つは脳梗塞の予防効果です。

(※)厳格な塩分制限によって、50%の人の血圧は下がるという説もあります。ちなみに、塩分は1日1グラムであっても、生命は維持できるとされています。


塩分制限の本当の意味 脳梗塞の予防

心臓疾患の多い欧米に比べると、日本では脳梗塞を代表とする脳血管障害(脳卒中)を合併する人が多いのが特徴です。もちろん生命に直結する心臓疾患も重要です。しかし、脳血管障害は救命できたとしても、麻痺や言語障害など重度の後遺症を残すことも多いのです。特に嚥下障害を合併した場合、そのために誤嚥性肺炎などで死亡することもあるため、

直接の死因(統計)に反映されない部分も大きい

のです。このような疾病特性を考えると、いかにして塩分を控えるのかが重要な課題です。実際の臨床でも、古くから用いられてきた利尿薬(塩分を体外に排出する作用)の効果も見直されています。

ここまでを理解したうえで、日常生活における塩分摂取量を考えてみましょう。


次のページでは塩分摂取の落とし穴についてご紹介します。