前回の記事では、医療業界のベストセラーとして業界人なら誰もが一度は目にした事がある『今日の治療薬』を解説してきました。今回は業界でもその人気を二分するもうひとつの本、そのライバルとも言える『治療薬マニュアル』の特徴に迫ります。
『治療薬マニュアル』
『今日の治療薬』に対抗する形で、より詳細な情報を盛り込んだのが『治療薬マニュアル』です。なんといっても副作用情報や禁忌といった重要な添付文書に載っている情報は、その理由までつけてすべて盛り込んである上に、適応外使用に関する臨床解説や、通称での検索が可能な事など、専門家もうなってしまう内容にまで踏み込んであるあたりはさすがに圧倒的なボリュームによるものです。
▼『治療薬マニュアル』の特徴
携帯性には少しかけるものの、わずか、5cm強の厚さに『今日の治療薬』の倍にもおよぶページを盛り込んであるので、その情報量は圧倒的です。その分、紙も薄い質感で作られていて、ページをめくるスピードは劣ってしまいますが、見出しシールを活用する事でその弱点をフォローできるようになっています。配列は日本薬効分類番号に沿った順番で並んでいるので、なれている人になるとその順番はおよそ頭に入っていてページ検索もある程度見当をつけてできます。しおりも1本多い3本ある上に抗生物質の略号が記された紙製のしおりもついてきて、複数の検索を同時に行う時に役立ちます。
ページサンプル
▼実際の医療の場面での使われ方
しかし、およそ1kgにおよぶ重さと、豊富な情報量のために犠牲になってしまう、ひとまわりちいさいな文字サイズは、あわただしい現場よりはじっくりと机の上で調べるタイプの情報源として役にたちそうです。多くの情報から時間をかけて判断する事は、医薬品の添付文書情報を見比べる事と同じように、専門的な判断の手助けになる事は間違いありません。
携帯性や検索スピードがポイントの『今日の治療薬』に対して、圧倒的な情報量を誇りながらも、値段はほとんど変わらない『治療薬マニュアル』は、ライバルとして充分と言えそうです。
▼『治療薬マニュアル』の使い方・活かし方
『今日の治療薬』に比べても、かなり専門知識が必要ですが、例えば、使っている薬はその他の同じ仲間の薬となにが違うのか、など個々の医薬品の特徴にせまりたい時にはおすすめです。薬物の最高血中濃度や半減期などまで調べられるので、どのような働きがどのくらいの効力を持って、どのくらい持続するのかが調べられます。これはまさに専門家の仕事になりますが、そこまで知っていたい欲張りで勉強熱心なあなた、『今日の治療薬』ではもの足りなくなってしまったあなたにはコチラの本をおすすめします。
WEB版もより充実していて、マンスリーの利用料が比較的安いのに加えて、一回の検索ごとに課金されるシステムもあるのは、会員登録するレベルではないユーザーにとっては助かります。
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【関連サイト】
・医学書院
・WEB版『治療薬マニュアル』
・治療薬マニュアル2004 CD-ROM
・『今日の治療薬』 AllAboutJapan薬について
・arsvi.com
・『治療薬マニュアル』インターネット通販amazon.com[薬について]All About Japan
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