なぜ耐性化が進んだのか?

発熱
関節痛と筋肉痛にくわえて38℃以上の高熱! この季節はインフルエンザを強く疑います
ここまで記載しましたように、タミフルに耐性化したウイルスはすでに一般的にもよく知られています。現行の抗インフルエンザ薬にはもう1つ、リレンザがありますが、実はこちらでも耐性化したウイルスが確認されています。

耐性化の原因は、こうした抗インフルエンザウイルス薬の使いすぎではないか? そんな疑問もあります。もちろん薬剤の過剰な使用は避けるべきですが、現実には海外ではタミフルがまったく使用されていない国でも、耐性化したウイルスは確認されています。季節風・偏西風に乗って耐性化したウイルスが各国に飛散しているのかもしれませんが、一概にタミフルの使いすぎだけが原因とは限りません。

「強くなった」ウイルスだけが生き残り、増殖を繰り返しているのかもしれません。いずれにしても、現行の抗インフルエンザ薬すべてに耐性を帯びたウイルスだけが蔓延する危険性もあるということです。


新型インフルエンザが出現するか!?

最も心配なのがこちらです。ウイルスがいかに早く進化するのかは、今シーズンのように耐性化ウイルスが急速に蔓延したことからも明らかです。新型インフルエンザウイルスが出現した場合にも、同様の現象が起きる可能性があります(特に新型ウイルスが出現してから、2年目のシーズンに要注意です)。

現在の抗インフルエンザウイルス薬は有効であろうと推測されています。現行のインフルエンザウイルスの持つ耐性と新型インフルエンザの耐性は必ずしも合致しないと考えられていますが、新型ウイルスが出現し、人間が十分な免疫力を持つ前に耐性を獲得すればどうなるでしょう(杞憂であれば良いのですが)。

人類が免疫をまったく持っていない新型インフルエンザウイルス、体力のある世代であれば自然治癒する可能性も高いと思いますが、ご高齢の方の場合、有効な薬剤が臨床応用されない限り、新型インフルエンザが出現しても有効な手立てが皆無という事態も十分に考えられます。


新型インフルエンザウイルスの感染の拡大を防ぐには、早期診断と封じ込め(隔離)とされています。しかし、誰もかかったことのないウイルス感染症を、どのように診断することができるのかが問題です。現時点でできる対策は、現行のインフルエンザ流行を極力防ぎ、インフルエンザの症状でありながら検査陰性となった場合に新型ウイルスを疑うことに尽きます。そのためには、できるだけ多くの人が現行のインフルエンザワクチンを接種することです(ワクチン接種については、個人単位では発症を予防する効果はほとんどありませんが、多くの人が接種することで、予防効果も高まることが期待されています)。

なお、次回の記事では、インフルエンザの合併症としても生じる肺炎の予防法についてご説明します。

(※)タミフル®は、F.ホフマン・ラ・ロシュ社(スイス)の登録商標です。日本国内では中外製薬工業株式会社によって製造・販売されています。


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