タミフルに耐性を帯びたインフルエンザウイルスが確認されています。タミフルはもう効かないのでしょうか。インフルエンザにかかったら、どうすればよいのでしょうか。医療現場ではどのようなことが起きているかというと……?


タミフルが効かない?

タミフル
抗インフルエンザウイルス薬タミフル、耐性化が進んでいるのは事実です
あるテレビ番組で「タミフル耐性のインフルエンザウイルスが蔓延し、医療機関では混乱が起きています」というキャスターのコメントがありました。しかし実際の臨床現場では、タミフルがインフルエンザの患者さんに効かないという印象はなく、少なくとも医療機関が混乱している状態とは思えないのです。

インフルエンザは本来自然治癒する病気ですので、タミフルが効いていなくとも効いているように見えるという可能性も否定できませんが、この他にも
いくつかの理由があります。
  • 耐性化が確認されているのは、あくまでも研究室でのデータである(体内では耐性化ウイルスにも効果があるかもしれない)
  • すべてのインフルエンザウイルスが耐性化しているのではない
  • 「タミフル耐性」であっても、その程度には幅がある
Aソ連型インフルエンザウイルスに関しては、タミフルに対してほぼ100%の耐性を帯びていることが確認されています。しかし、実験上のデータ(in vitro:イン・ビトロと言います)がそのまま人体(in vivo:イン・ビボ)に当てはまるとは限らないのです。


今後も絶対にタミフルが効くという保障はありませんが、少なくとも現時点では「耐性化イコールまったく効かない」ということではありません。ご自身がインフルエンザになったからといって、慌てないようにしてください。発熱が出現してから48時間以内であれば抗インフルエンザ薬は有効ですし、もしそれ以上時間が経っているようであれば、水分補給と安静が基本です(具体的には臨床医が考えるインフルエンザ治療法も参考にしてください)。ただし、これとは別にインフルエンザウイルスについては懸念があります。


多くの医師が予測していた耐性化ウイルス蔓延!

今年の耐性化ウイルスの蔓延は、多くの医師が予測していましたので、現場が混乱しているということはありません(少なくとも今日までに、タミフルの効果がなかったために治療に支障をきたしたという話は聞いたことはありません)。予測できていた理由の1つは、すでに昨シーズンにはヨーロッパを中心にタミフル耐性化ウイルスが蔓延し、国内でも耐性化ウイルスが確認されていたためです。

読者の皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか、「新型インフルエンザ 大流行前ワクチンとは」まとめのコメントで示唆したように、「新しい形質を獲得したウイルスは、人間が免疫を備えていない2年目のほうが蔓延しやすい」ということなのです。山口県の一勤務医であるガイドですら懸念していたことですから、都会の最前線で激務に励んでいらっしゃる先生方のほとんどが今回の耐性化ウイルスの流行を予測されていたと思います(ちなみに、ガイドの勤務する病院の薬局でも、流行を見据えて例年より多くの抗インフルエンザ薬を仕入れていました)。