新型インフルエンザウイルスに対するプレ・パンデミックワクチン(大流行前ワクチン)が開発され、医療従事者・検疫に関わる仕事(空港)・船員など、ウイルスによる感染の危険性が高い職種から優先して接種を行うとされています。そのワクチンの持つ意義を考えてみたいと思います。


まずは復習 新型インフルエンザとは?

水鳥
鳥から検出されたインフルエンザウイルス、いずれは人間にも感染するようになるのでしょうか
人間は、あるウイルス感染症にかかると同じウイルスにはかかりにくくなります。それは、免疫がつくからです。インフルエンザウイルスに関しても同じことが言えますが、インフルエンザウイルスは他のウイルスよりも変異しやすいという特徴があります。このため、免疫がつきにくく、小流行を引き起こす数年単位での小さな変異、あるいは数十年単位で大きな変異を起こして大流行を招くことがあります。

人類の歴史を振り返ってみると、1918年に出現したスペイン風邪や1957年のアジア風邪は、当時は両方ともに「新型インフルエンザウイルス」だったのです。世界的な大流行を招き、多くの方が亡くなりました。

ここ数年で問題となっている新型ウイルスとは、人類がこれまでに経験したことのない、新しいタイプのインフルエンザウイルスが出現するということです。その前兆が鳥インフルエンザウイルスです。人間への感染率は非常にわずかですが、万が一感染してしまうと致死率は何と50%を超えています。このウイルスが変異を起こし、人間に感染するようになったとき、ヒトからヒトへと感染が拡大して4人に1人が新型インフルエンザウイルスに感染すると考えられています。


大流行前ワクチン、本来のワクチンとはどこが違う?

新型ウイルスは、鳥インフルエンザウイルスが変異して出現すると考えられています。このため、ウイルスに対するワクチンは、必然的に鳥インフルエンザウイルスの大きな特徴(抗原:H5N1型)に合わせて作られています。

ところが、鳥インフルエンザに感染を起こした症例は海外で報告されていますが、実際には新型インフルエンザウイルスには、まだ誰も感染していません。つまり、大流行前ワクチンとは、あくまでも流行を見越して理論的に作られたワクチンなのです。もし、将来出現する新型ウイルスが、H5N1型で更に細かな特徴も鳥インフルエンザウイルスに似通っているならば、大流行前ワクチンも効果が期待できます。


しかし、新型ウイルスにはまだ誰も感染したことがないため、このワクチンも本当に効果があるのかは現時点では実証されていないのです。誤解を生まないように注記しますが、流行に備えたワクチンとしての役割は非常に大切なものです。しかし、副反応についても同様のことが言えます。次のページで詳しくご説明します。