タミフル®を服用したとみられる中学生が自宅マンションから転落して死亡という、なんとも痛ましい報道がありました。抗インフルエンザウイルス薬は解熱する期間を短くするなど、インフルエンザ感染症に対して効果を期待できる薬剤ですが、異常行動以外の副作用が出現することもあり使用するには慎重を期するべきです。


タミフル®で異常行動?

タミフル
タミフル®(一般名:リン酸オセルタミビル)はインフルエンザの症状を短期間にすることができます
抗インフルエンザウイルス薬には現在のところ内服薬タミフル®と吸入薬リレンザ®が使用されています。今回問題となったのは内服薬であるタミフル®ですが、基本的な注意事項として以下のことが挙げられます。
  • 患者さんの状態によっては治療に必須ではないこと
  • A型・B型インフルエンザウイルス以外の感染症には効果がないこと
  • 発熱してから48時間以内に使用すること
薬剤の添付文書によると、タミフルカプセル剤®によって副作用がみられたのは承認時までの調査309例中85例(27.5%)、主な副作用は腹痛(27.5%)、下痢(5.5%)、嘔気(3.9%)とされています。また、タミフルドライシロップ製剤®(1~12歳の幼小児)70例の調査では全体で35例(50.0%)、主な副作用は嘔吐(24.3%)、下痢(20.0%)であったとされています。

異常行動については注意喚起のために平成16年5月より「重大な副作用」欄に以下のように記載されています。

精神・神経症状(意識障害、異常行動、せん妄、幻覚、痙攣など)が表れることがある(添付文書より引用)

ただし、平成18年末までにタミフル®を服用した16歳以下の小児16例の死亡(治験時の1例を含む)については、小児科・呼吸器科などを含めた専門家からの意見ではタミフル®と死亡とは関連がないのではないか、とされています。

異常行動の原因はタミフル? インフルエンザ脳症?

厚生労働省ホームページ(報道発表資料)から入手することができますが、インフルエンザの経過中に発症した脳炎及び脳症についてまとめられたデータがあります。平成11年1月から3月と短期間のものですが、これによるとインフルエンザ発症から脳炎・脳症の症状が出現するまでの期間は平均1.4日、死亡例は1.1日であったとされています。2月中にタミフル®服用後の死亡例が続いたことで、厚生労働省は未成年がインフルエンザを発症した場合、少なくとも発症後2日間は1人にしないよう注意を促しています。

注意 高所からの転落例が更に判明したことから、平成19年3月20日より10代には原則として使用禁止となりました。

また、一般的な注意事項ですが、併用薬にも注意しないといけません。その一例として解熱鎮痛剤があります。小児ではアスピリンなど、成人に用いる一般的な解熱鎮痛剤をインフルエンザに使用すると脳症を生じることがありますので、解熱鎮痛剤の中でも安全性の高いアセトアミノフェンが使用されます。成人では解熱鎮痛剤の使用が禁止されてはいませんが、特にご高齢の方ではインフルエンザの一時的な解熱を目的に、一般的な解熱鎮痛剤を避けてアセトアミノフェンを用いることがあります。

ここで1つ注意なのですが、実際にインフルエンザにかかったとき、抗ウイルス薬と解熱鎮痛剤以外にもお薬を処方されたことはありませんか? インフルエンザは風邪と区別して扱われることが多いですが、抗ウイルス剤は別としても、症状を和らげるための対症療法が中心となるのは風邪と同じです。つまり、症状にあわせて用いる併用薬(漢方薬を含む)にも注意が必要となります。


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