子供の病気/熱中症・熱射病・日射病

キケン! 室内でも熱中症に…飲水実験

暑い夏は脱水症にならないよう、こまめに水分を補給することが大切ですが、スポーツ飲料が良いと言われることがあります。普通のお水ではいけないのでしょうか? その理由を具体的にご説明します。

執筆者:吉國 友和

毎年のように猛暑・酷暑という言葉が聞かれますが、熱中症・日射病をきっかけに脱水状態に陥ってしまうことがあります。脱水になったときの最も基本的な応急処置である水分補給のポイントについてご説明します。


人体に占める水分の割合

日照り
今年も暑い季節がやってきます
帽子をかぶって農作業をしていた70代の男性、あるいは家の中で家事をしていた50代の主婦など、私が診療に当たった患者さんだけでも様々な環境・状況が背景にありました。一般的に脱水に陥りやすいのは乳幼児ないしご高齢の方です。その理由は体液量のバランスが崩れやすいためと説明されます。

年齢や性別によっても多少異なりますが、健康な成人の体内に占める水分は体重の60~70%です。こうした水分は人間の細胞1つ1つに含まれる細胞内液(さいぼうないえき)、血液や細胞同士の隙間に存在する細胞外液(さいぼうないえき)に分類され、それぞれ細胞の内部あるいは外部での物質の代謝に役立っています。体内における水分が細胞の中に存在するのか、あるいは細胞外に存在するのかは加齢によっても変化します。


加齢で水分含有量が変わると……

脱水になると、最初に血管の中の水分である細胞外液が減少します。体を構成する水分のバランスで見ると、細胞外液の割合は乳幼児期が最も高く(25~35%)、青年期に最も低くなり(20%)、加齢によって再び割合が高くなってきます(23%前後)。

一概に体液の割合だけではありませんが、脱水になりやすいのは乳幼児、そして年配の方であることは、こうしたことからご理解いただけると思います。なお、後でご紹介します脱水症の対処法を理解するために、次のポイントだけ抑えておいてください。
  • 脱水症の多くの場合、最初に細胞外液量(血液中の水分)が減少する
  • その細胞外液の組成はナトリウムが多い(血清ナトリウム濃度:140mEq/?)
  • 脱水の初期症状は尿量の減少
  • 口が渇かないタイプの脱水もある
特に最終項目に挙げた、口が渇いていないのに脱水症に陥っている可能性のあることは忘れないでください。


次のページでは脱水症の対処法をご紹介します。
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