抗がん剤/抗がん剤治療の副作用・対策

全く新しい抗がん剤の副作用対策とは(2ページ目)

食欲不振、全身倦怠感、脱毛、白血球減少……。抗がん剤の副作用は、どうしても避けられないものです。従来も様々な対策がなされてきましたが、今までになかった新しい方法について、最新情報をお届けします。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド


食欲不振や白血球減少、ストレスに対する影響

食欲不振や白血球減少、ストレスに対する影響
大阪大学、関西医科大学、中国の福建中医学院など、複数の研究機関からAHCCによる副作用軽減に及ぼす影響について発表がありました。
AHCCという物質を、抗がん剤治療を受けている患者さんが摂取することで、色々な影響が見られたことが複数の研究機関から報告されたことが、今年の特徴の一つだったと思います。

内容としては、まずは、食欲不振が改善されたこと。以前から、抗がん剤による味覚異常をAHCCは軽減するのではないか、という報告はありましたが、それらが具体的な食欲不振の改善として示されたのではないかと思います。

次には、白血球減少や貧血に及ぼす影響です。抗がん剤はどうしても、細胞の増殖サイクルが早い臓器に副作用をもたらしますが、骨髄抑制と呼ばれる血球系への副作用もその一つです。AHCCの摂取した患者さんでは、この骨髄抑制の程度が低く抑えられたという結果が報告されていました。

また、唾液中のヒトヘルペスウィルスのDNA量を測定することで、AHCC摂取によって全身に対するストレスが軽減されているという結果も報告されていました。

これからの課題はありますが……

これからの課題はあるが
今回の結果を鵜呑みにすることはできません。しかし、今までの治療では十分にフォローできなかった部分がカバーできる可能性があることは事実だと思います。
今回の結果を、そのまま鵜呑みにすることはできません。また、今年の研究報告会では、AHCCという物質がどのように細胞内に影響を及ぼしていくのかということ、また、抗がん剤のがん細胞への効き目を落とさずに、副作用だけを軽減させることができる裏付けはあるのか、ということなど、検討の余地はまだまだあります。また、仮に、これらの裏付けがとれたとして、医薬品ではないAHCCという物質を、医師の主導や管理のもと、どうやって患者さんに適用していくのかという大きな問題も残っています。

しかし、抗がん剤治療を行っていく上での副作用の軽減には、患者さんのみならず、医師も積極的に取り組みたいと思っている分野です。

西洋医学による治療を中心としながら、足りない部分を他の方法で補うことを補完医療と言いますが、がんに対する補完医療が大きな転換期を迎えそうな予感がした研究報告会でした。

抗がん剤の副作用に悩んでいる患者さんにとって、少しでも良い方向に持って行くことができれば良いなぁと、感じました。


【関連リンク】
日本でのがんに対する補完医療の代表は……⇒健康食品ってがんに効くのでしょうか? (All About がん・がん予防)

AHCCについての基本情報はこちら⇒AHCC(アミノアップ化学)


「がん・がん予防」メルマガでは、最新記事のお知らせを始め、フレッシュな情報をお届けします。登録はこちらから。


  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます