がん3大療法の1つ、抗がん剤治療

近年、がん治療における抗がん剤治療の位置づけは変わりつつあります。手術・放射線治療との特性の違いを押さえておくと理解しやすいと思います。

手術・放射線治療の特性との違いを押さえておくと、抗がん剤治療の役割が理解しやすくなります

がん治療の「3大療法」は、手術、抗がん剤、放射線治療。これらの組み合わせ方や行う順番は、がんができた部位や状態によって変わります。

今回解説する抗がん剤治療は、薬の服用や点滴によって効果が全身に及ぶという点で、手術や放射線治療とは違った役割を持ちます。手術や放射線治療では、切除部位や照射範囲のみが治療対象になりますが、抗がん剤治療は全身のがん細胞に対して治療を行うことができるのです。詳しくご紹介しましょう。
 

変わりつつある抗がん剤治療の位置づけ

これまでの抗がん剤治療は、効果がピンポイントではなく全身に行き渡る一方、副作用のリスクが広範に及ぶという特性を持っていました。そのため、抗がん剤治療は、手術後の再発防止や多臓器転移のために手術や放射線治療が行えない場合の代替的な手段として行われてきました。

しかし、1990年代から多くの新規抗がん剤が開発・発売され、抗がん剤治療の新しい方法が組み合わされるように。さらには、抗がん剤の副作用を軽減するための取り組みが効果を上げ始め、副作用のリスクからそれまで敬遠されてきた手術前の抗がん剤治療や、放射線治療との併用療法も行われるようになってきました。

つまり、これまではあくまで地固め、もしくは他の方法が使えない場合の姑息的手段として行われていた抗がん剤治療が、手術や放射線と組み合わせて効果を発揮する治療法として、従来以上に重要度を増すようになってきたのです。


抗がん剤治療のトレンド

最近の抗がん剤治療のトレンドは、術前・術後の治療法として積極的に用いられるようになってきたということと、治療が入院ではなく、外来で行われるようになってきたことです。

外来治療が受けられるようになったもの大きなメリット。術前・術後の治療法として積極的に用いられています

進歩が進む抗がん剤治療の中でも、「術前補助化学療法(neo-adjuvant chemotherapy)」は、この10年ぐらいの間に飛躍的に進歩しています。

早期のがんの場合は手術で部位の切除を行いますが、がんがある程度進行して周囲の臓器への浸潤が疑われる場合には、最初に抗がん剤治療を行います。場合によっては、放射線治療も併用します。

これらの術前補助化学療法で、がんを縮小させておいてから、手術でしっかり切除して根治を目指すという治療戦略。肺がんや食道がんなどでの治療成績向上に役立っています。

また、以前では入院で行われてきた点滴による抗がん剤治療ですが、近年、投与方法の改善や副作用対策の充実により外来で行えるようになってきたことも、大きな特徴の一つ。入院を必要としないということで、患者さんの生活に負担をかけずに治療を行うことが可能になってきているのです。
 

抗がん剤治療の費用

抗がん剤治療も、手術や放射線治療と同様、医療費がたくさんかかります。現在の保険制度では、自己負担金額が一定額を超える場合には、還付される制度なども整備されています。わかりづらい場合には、病院でご相談になってみると良いでしょう。

抗がん剤治療も、手術や放射線治療と同様、費用がかかります。心配なことはソーシャルワーカーに相談を

抗がん剤は、一般の医薬品に比べても非常に高価なものが多いです。特に、新しく開発された薬は価格が高い傾向に。一般には3割自己負担になるので、お金がかかる治療になるという側面もあります。

しかし、現在の健康保険制度では「高額療養費制度」という制度があり、所得や年齢によって違いはあるもののある一定の額(最大83,400円)を超えた金額については、還付を受けることができます。

制度や手続きがわかりにくいときには、病院でソーシャルワーカー(相談員)に尋ねるようにしましょう。

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