インフルエンザ/インフルエンザワクチンの予防接種

受験生と共働きの夫婦はインフルエンザワクチン接種を 抗インフルエンザ剤と迅速検査

年末年始の頃に問題となるインフルエンザの予防・治療・診断には、ワクチン、抗インフルエンザ剤、迅速検査を使う事ができます。迅速検査は治療薬の投与の判断には大切です。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

毎年、年末年始の頃にインフルエンザが流行します。その前にインフルエンザの予防・治療・診断についてしっかりとした知識を身につけておきましょう。
インフルエンザに対してワクチン、抗インフルエンザ剤、迅速検査を使う事ができます。ワクチンは受験生、子供を持つ共働きの夫婦では御利益があります。
迅速検査に基づいて抗インフルエンザ薬を服薬すれば軽症で済みます。

【インフルエンザの分類から】

インフルエンザには、A、B、Cがあります。Aは12月から1月、Bは1月から2月にかけて流行します。AとBは、臨床症状からは区別できません。
Cは症状が軽いので、普通の風邪と区別ができません。

【誰にワクチンを接種すべきか】

インフルエンザBは、原則として一度感染すれば二回目の感染はおきません。インフルエンザワクチンといえばインフルエンザAのワクチンの事です。
インフルエンザAは、人畜共通ウイルスで、鳥、豚、ヒト(霊長類)が主な感染する生物です。流行するウイルスの型が変わるので、その型を予想してワクチンをあらかじめ作ります。

ヒトの細胞に取り付くが事できないワクチン(死菌ワクチン・不活化ワクチン)なので、ワクチンの蛋白成分への過敏症以外の重大な副作用(感染)はおきません。ワクチンを接種すると本物のウイルスが感染した時に、ニ度目以降の感染として免疫系が働く免疫記憶ができます。ただし死菌ワクチンでは、ウイルスに対する抗体ができる液性免疫しか付きません。

気道の呼吸器系の細胞への感染そのものを予防できるわけではありません。ワクチンを打っても感染は成立します。咳き、くしゃみ、免疫反応として発熱は起きます。それでも、ウイルスに対する抗体があり、免疫応答が早いので感染しても軽症で済みます。

鳥、豚、ヒト間でウイルスが混じって新種のウイルスができるとスペイン風邪のような全世界的大流行となります。大流行してからワクチンを製造しても間に合いません。

【御利益があるのは誰?】

ワクチン接種には、ある地域や年齢層に集団として接種する集団接種と個人の判断に基づいて接種を受ける個人接種があります。前者の代表がポリオ(小児マヒ)に対するワクチンです。
インフルエンザワクチンは、以前は集団接種でしたが、現在は、個人接種が原則です。
誰が接種して御利益があるのでしょうか?
明らかに御利益がある人が対象となります。

まずは、受験生です。試験は通常年一回です。受験日当日にインフルエンザでは、実力を発揮できません。11月に1回目、1月までに2回目の接種を終わらせましょう。2回目を打つのは、免疫記憶を強くするためです。

夫婦共働きで保育園に子供を預けている場合は、家族全員で接種を受ける事をお勧めします。子供が保育園でウイルスをもらって、子供に遅れて、親が発熱するのは、よくある事です。

高齢者、特に施設で集団生活している場合は、家族、職員が、インフルエンザを持ち込む事になります。接種の優先順位は、職員が最優先となります。

ワクチン接種は、一般の人の場合は絶対に御利益があるとは言い切れません。ワクチンは感染の成立を防ぐものではないからです。ただしワクチンを投与すれば症状が軽くて済みます。

2ページで抗ウイルス剤と迅速検査について説明します。
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