目玉焼きと言うからには、玉子は2個だという説があります。でも、1個にしましょう |
玉子の話はいつも論議を呼びます。いろいろな問題を併せ持つからです。まず、食品から摂取するコレステロールがどのくらい身体に影響するか?ということ。そして1日のコレステロール摂取量に上限を定めるべきか否か?そもそも血清コレステロールの目標値を今のように低く設定する科学的根拠があるのだろうか?などなど。すべての点で意見が分かれます。
玉子をかばう(?)人達の意見
数十年にわたって玉子は高コレステロール食品として差別を受けてきたけど、こんなに安いタンパク質食品はないのです。その上、ビタミンやミネラルに富み、目を守るとされるルテインもあります。玉子1個に脂肪は5gありますが、飽和脂肪酸は1.5gで残りは体にいい不飽和脂肪酸なんですよ。問題のコレステロールも分析技術の進歩で以前考えられていた数値より低くなっています。
日本では1個50gの玉子に235mgのコレステロールとなっていますが、アメリカではかつての275mgから213mgに訂正されました。オーストラリアでは50gの玉子に185mgのコレステロールです。そして食品含有のコレステロールはそれ程吸収されないことも分かってきました。
さて、一番わたしたちが知りたいのは、玉子を毎日食べると血清コレステロールがどうなるか?ということですね。
これを調べた研究によると、1日1個の玉子を食べると血清コレステロールが1%~3%上がるそうです。
[Stephen B. Kritchevsky. Journal of American College of Nutrition. 2004]
この程度の上昇は1人前に切り分けたバター(10g)や30gのチーズと同じようにコレステロールを上げる効果ですから、たいしたことはありません。大規模研究でも玉子の消費については評価が分かれます。玉子の消費量によって心臓病のリスクが増えるという結果と、リスクに変化はなく、むしろプラス面があるという評価です。
でも、糖尿病の人はご注意を!
玉子と糖尿病の関係を調べた研究があるのです。ハーバード大学公衆衛生学大学院によると、毎日1個あるいはそれ以上の玉子を食べていた糖尿病のある男性は、週1個以下の糖尿病男性に比べて2倍も心臓病のリスクが高かったのです。同じ条件の糖尿病のある女性では1.5倍です。ヘルシーな人たちは安全でした。最近の研究では高コレステロール食品を取ると、まだ未知の役割によって心臓病のリスクを高めるのではと示唆されています。
だから日本の糖尿病の食事療法では、高コレステロール血症の人は食品のコレステロールを300mg/日 以下、重症高コレステロール血症の人は150mg~250mg/日 というガイドラインがあります。
肥満と心臓病に苦しむアメリカでは、血清コレステロールが高くない健常人でも300mg/日 以下が勧められています。糖尿病や心臓病、高コレステロール血症の人は200mg/日 以下です。これでは毎日玉子1個を食べられませんね。
全ての科学者が必ずしもヘルシーな人が高コレステロール食品を取ることに反対しているわけではありません。現にカナダやオーストラリア、ニュージーランドでは健康な人のコレステロール摂取量の上限は決められていません。
しかし、糖尿病や心臓病のある人が好きなだけ高コレステロール食品を取るのは間違いですね。
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