セレンのはたらきを探る
セレンが超微量の必須元素と分かる以前は、動物やヒトにとって有毒なものと考えられていました。今だって過剰なセレンは毒性があるのです。セレンはイオウと類似していて、イオウの硫化物に似たセレン化物をつくるので、システインのようなイオウを含むアミノ酸をセレンに置き換えることによって正常な機能を損うと考えられています。逆に一定量のセレンは絶対に必要なものです。からだを活性酸素の過酸化水素(H2O2)から守る酵素にグルタチオンペルオキシダーゼがあります。このグルタチオンは3つのアミノ酸、グルタミン酸・システイン・グリシンがつながったものですが、この含硫アミノ酸システインのイオウの一部がセレンに置き換わることによって酵素が活性化するのです。
この抗酸化グルタチオンやセレンを含む医薬品(抗炎症作用)などから、セレン・サプリの前立腺ガンへの可能性が取りざたされていますし、糖尿病への効果を考えている研究者もいるようです。インターネットのセレン・サプリでは、口唇ヘルペスや帯状疱疹(たいじょうほうしん)、リウマチなどの関節炎から多発性硬化症、老化防止や不妊治療、ガン予防、重金属の毒性軽減まで、いろいろなうたい文句が見られます。
ひとつ確かなことは、セレンは毒と薬の境界が狭いということです。サプリだと過剰の恐れがあります。アメリカ人は1日の食事で80~165マイクログラムのセレンを取っていて、これで過不足がないということですよ。
ちなみにセレンは穀類や野菜、牛肉や鶏肉、ツナ缶や玉子などに十分に含まれています。そして、断然トップの含有量を誇っているのがブラジルナッツ! 1オンス(約30g)で544マイクログラムです。ブラジルナッツは時々少量食べるのがいいようですね。
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